第一だいいち 集しゅう
基本きほん 概念がいねん
第だい 1部いちぶ 1-1 ── 全ぜん 14問じゅうよんもん ・配点はいてん 50
取得しゅとく 0 / 50
Q01
L3 運用うんよう
誤ご 用よう 診断しんだん
1-1 ☑1・☑7
P4含意がんい / P8同音どうおん
次つぎ の一文いちぶん には、語ご の含意がんい にかかわる誤あやま りが二ふた つある。すべて指摘してき し、訂正ていせい し、それぞれ理由りゆう を述の べよ。
「この制度せいど は、ほとんどの先進国せんしんこく で普遍的ふへんてき に見み られるものであり、その成立せいりつ は歴史れきし の必然ひつぜん というより、むしろ当然とうぜん の帰結きけつ であった。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 誤あやま り①:「ほとんどの…で普遍的ふへんてき に」 。普遍ふへん は〈例外れいがい なく当あ てはまる〉ことであり、「ほとんど」という留保りゅうほ と含意がんい レベルで衝突しょうとつ する。→「広ひろ く見み られる」。
誤あやま り②:「必然ひつぜん というより当然とうぜん 」 。必然ひつぜん は〈因果いんが によってそうなる〉こと、当然とうぜん は〈納得なっとく できる〉こと。制度せいど の「成立せいりつ 」を語かた るのは因果いんが の話はなし であるから、「当然とうぜん の帰結きけつ 」に逃に げるのは論点ろんてん のすり替か えになる。因果いんが を認みと めるなら「歴史れきし の必然ひつぜん であった」、認みと めないなら理由りゆう ごと書か き換か える。
原理げんり 文法ぶんぽう 的てき に正ただ しい文ぶん でも、語ご が背負せお う含意がんい (例外れいがい ゼロ/因果いんが )が文脈ぶんみゃく と衝突しょうとつ すれば誤ご 用よう になる。誤あやま りは「意味いみ 」ではなく「含意がんい の水準すいじゅん 」で起お きる。
Q02
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-1 ☑22・☑23・☑24
P8同音どうおん 類るい 語ご
「概念がいねん 」「観念かんねん 」「理念りねん 」を、①客観きゃっかん 性せい の有無うむ ②内ない /外そと ③規範きはん 性せい の三さん 軸じく で弁別べんべつ せよ。そのうえで「自由じゆう の概念がいねん 」「自由じゆう の観念かんねん 」「自由じゆう の理念りねん 」がそれぞれ何なに を指さ すかを一文いちぶん ずつで述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 概念がいねん は〈言葉ことば が指さ し示しめ す意味いみ 内容ないよう 〉で、誰だれ にとっても同おな じであることを要求ようきゅう する(客観きゃっかん ・外そと )。観念かんねん は〈頭あたま の中なか の像ぞう 〉で、個人こじん の思おも い込こ みの響ひび きを帯お びる(主観しゅかん ・内ない )。理念りねん は〈こうあるべきだ〉という規範きはん で、実践じっせん が目指めざ す究極きゅうきょく 目標もくひょう (規範きはん ・掲かか げる対象たいしょう )。
「自由じゆう の概念がいねん 」=自由じゆう という語ご が意味いみ する内容ないよう そのもの。「自由じゆう の観念かんねん 」=その人ひと が頭あたま の中なか で抱いだ いている自由じゆう のイメージ。「自由じゆう の理念りねん 」=実現じつげん を目指めざ して掲かか げられる自由じゆう 。
原理げんり 同おな じ「自由じゆう 」でも、結むす ぶ語ご によって〈定義ていぎ /心像しんぞう /目標もくひょう 〉と位相いそう が変か わる。三さん 語ご の差さ は語ご 義ぎ の差さ ではなく、置お かれる場所ばしょ (外そと ・内ない ・未来みらい )の差さ である。
Q03
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-1 ☑13
P8同音どうおん / P4含意がんい
「非合理ひごうり 」と「不合理ふごうり 」を、〈理り の枠わく 〉との位置いち 関係かんけい で説明せつめい せよ。そのうえで次つぎ の二に 文ぶん の「非ひ /不ふ 」は交換こうかん できるか、判定はんてい して理由りゆう を述の べよ。
a「この乗じょう 継つ ぎダイヤは不合理ふごうり だ」 b「宗教しゅうきょう 体験たいけん は非合理ひごうり の領域りょういき に属ぞく する」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 「非合理ひごうり 」は理り の枠わく の外そと にあるもの——感情かんじょう ・信仰しんこう など、そもそも理屈りくつ で扱あつか えない領域りょういき 。「不合理ふごうり 」は理り の枠わく の内ない での不備ふび ——理屈りくつ に合あ っておらず、改善かいぜん の対象たいしょう になる。喜怒哀楽きどあいらく は非合理ひごうり だが不合理ふごうり ではない。
a:ダイヤは理性りせい の産物さんぶつ であり、その欠陥けっかん は枠わく の内ない の不備ふび 。「非合理ひごうり 」にすると〈理屈りくつ で扱あつか えない神秘しんぴ 〉になって滑稽こっけい 。b:宗教しゅうきょう 体験たいけん を「不合理ふごうり 」と呼よ ぶと〈設計せっけい ミス〉扱あつか いになり、書か き手て が意図いと しない批判ひはん になる。いずれも交換こうかん 不可ふか 。
原理げんり 接頭辞せっとうじ 「非ひ /不ふ 」は否定ひてい の位置いち が違ちが う。非ひ =カテゴリー外そと 、不ふ =カテゴリー内ない の欠如けつじょ 。この一般いっぱん 規則きそく は「非常識ひじょうしき /不ふ 常識じょうしき 」「非ひ 公式こうしき /不ふ 公式こうしき 」の成否せいひ まで外挿がいそう できる。
Q04
L3 運用うんよう
中日ちゅうにち 対照たいしょう
1-1 ☑28 ⚠
P9 L1干渉かんしょう
「敷衍ふえん 」について。①日本語にほんご での読よ みと意味いみ を述の べよ。②中国語ちゅうごくご の 敷衍ふえん (いい加減かげん に済す ませる, fūyǎn)との関係かんけい を一語いちご で規定きてい せよ。③「先さき の定義ていぎ を敷衍ふえん すれば」を中国語ちゅうごくご で言い うなら、「敷衍ふえん 」の代か わりにどの語ご を選えら ぶべきか。逆ぎゃく に、中国語ちゅうごくご の 敷衍ふえん 了りょう 事こと (おざなりに済す ませる, fūyǎn liǎoshì)を日本語にほんご でどう言い うか。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう ①ふえん。意味いみ ・趣旨しゅし を押お し広ひろ げ、例れい や言い い換か えを添そ えて詳くわ しく説明せつめい すること。②ほぼ逆ぎゃく ——日本語にほんご は〈丁寧ていねい に広ひろ げる〉、中国語ちゅうごくご は〈手て を抜ぬ いて流なが す〉。③中国語ちゅうごくご では 阐述(詳くわ しく述の べる, chǎnshù)や 引ひき 申さる (意味いみ を押お し広ひろ げる, yǐnshēn)を使つか う。敷衍ふえん 了りょう 事こと は日本語にほんご では「おざなりに済す ませる」。
原理げんり 同どう 形けい 語ご の中なか で最もっと も危険きけん なのは〈意味いみ がずれる語ご 〉ではなく〈評価ひょうか の向む きが反転はんてん する語ご 〉。敷衍ふえん はその典型てんけい で、褒ほ めたつもりが貶けな しになる。同どう 形けい =同義どうぎ という推論すいろん を最初さいしょ に切き る訓練くんれん 台だい になる。
Q05
L2 弁別べんべつ
中日ちゅうにち 対照たいしょう
1-1 ☑9 ⚠
P8同音どうおん / P9 L1干渉かんしょう
同音どうおん の「たいしょう」三さん 語ご ——対象たいしょう ・対称たいしょう ・対照たいしょう ——に線せん を引ひ け。①それぞれの核かく を一語いちご で述の べ、②「研究けんきゅう __」「左右さゆう __」「比較ひかく __」に正ただ しく配はい せ。③中国語ちゅうごくご の 对象(恋人こいびと ・相手あいて , duìxiàng)が日本語にほんご 話者わしゃ 向む けの作さく 文ぶん で引ひ き起お こす事故じこ を一ひと つ挙あ げよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 対象たいしょう =行為こうい や認識にんしき が向む かう〈先さき 〉。対称たいしょう =形かたち の〈釣つ り合あ い〉。対照たいしょう =二ふた つを突つ き合あ わせた〈際立きわだ ち〉。研究けんきゅう 対象たいしょう ・左右さゆう 対称たいしょう ・比較ひかく 対照たいしょう 。
中国語ちゅうごくご の 对象 は「相手あいて 」、とくに恋人こいびと の意い で日常的にちじょうてき に使つか う(找对象)。日本語にほんご の「対象たいしょう 」にこの用法ようほう はないため、「結婚けっこん の対象たいしょう を探さが す」のような直訳ちょくやく 調ちょう は不自然ふしぜん かつ誤解ごかい を生う む。
原理げんり 同音どうおん 衝突しょうとつ (P8)と母語ぼご 干渉かんしょう (P9)が同おな じ語ご で重かさ なる稀まれ な例れい 。変換へんかん ミスは読者どくしゃ に「教養きょうよう の欠落けつらく 」として映うつ るので、三さん 語ご の線せん は書か き手て の身分みぶん 証しょう になる。
Q06
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-1 ☑10・☑11
P1共起きょうき
「権威けんい 」と「権力けんりょく 」。①承認しょうにん と強制きょうせい という観点かんてん で二に 語ご を定義ていぎ し分わ けよ。②「彼かれ はこの分野ぶんや の権力けんりょく だ」はなぜ不可ふか か。③「近代きんだい 国家こっか では、憲法けんぽう という__が__の正統性せいとうせい を裏うら づける」の空欄くうらん を埋う めよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 権威けんい は、相手あいて が価値かち を認みと めるがゆえに自発的じはつてき に従したが う力ちから 。権力けんりょく は、承認しょうにん ぬきで強制きょうせい する力ちから 。人ひと を指さ す用法ようほう (「この分野ぶんや の権威けんい 」)を持も つのは権威けんい だけで、「分野ぶんや の権力けんりょく 」とは言い わない。近代きんだい 国家こっか では、憲法けんぽう という権威けんい が権力けんりょく の正統性せいとうせい を裏うら づける——強制きょうせい 装置そうち そのものが、承認しょうにん の体系たいけい に支ささ えられているという逆ぎゃく 立た ちが要点ようてん 。
原理げんり 評ひょう 論文ろんぶん で「権力けんりょく 」がほぼ常つね に批判ひはん の的まと になるのは、承認しょうにん を欠か くから。二に 語ご の線せん は〈従したが う理由りゆう が内ない にあるか外そと にあるか〉の一点いってん で引ひ ける。
Q07
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-1 ☑21 ⚠
P7多義たぎ / P9 L1干渉かんしょう
次つぎ の文ぶん は、評ひょう 論語ろんご としての「疎そ 外がい 」の用例ようれい として適切てきせつ か。判定はんてい し、評ひょう 論ろん 義ぎ の構造こうぞう を一文いちぶん で述の べよ。
「SNSに疲つか れた彼かれ は、友人ゆうじん たちから疎そ 外はず されていると感かん じた。」
あわせて、哲学てつがく 用語ようご の「疎そ 外がい 」に対応たいおう する中国語ちゅうごくご を挙あ げよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 不適切ふてきせつ 。この文ぶん の「疎そ 外がい 」は日常にちじょう 義ぎ 〈仲間なかま はずれ〉であり、評ひょう 論ろん で問題もんだい になる疎そ 外がい ではない。評ひょう 論ろん 義ぎ は〈人間にんげん が作つく り出だ したもの(労働ろうどう ・貨幣かへい ・制度せいど )が自立じりつ し、逆ぎゃく に作つく り手て である人間にんげん を支配しはい して、人間にんげん らしさを押お し出だ す〉という循環じゅんかん ・反転はんてん の構造こうぞう を指さ す。中国語ちゅうごくご では哲学てつがく 語ご として 异化(疎そ 外がい , yìhuà)を当あ てる。疏远(よそよそしくする, shūyuǎn)は日常にちじょう 義ぎ しか担にな えない。
原理げんり 多義たぎ 語ご は「どの層そう で使つか われているか」の判定はんてい が先さき で、意味いみ の暗記あんき は後あと 。疎そ 外がい の評ひょう 論ろん 義ぎ は後あと の フェティシズム・システム と同おな じ〈反転はんてん 〉の型かた に属ぞく する(Set 4 で回収かいしゅう する)。
Q08
L2 弁別べんべつ
産出さんしゅつ
1-1 ☑14・☑15・☑35・☑39
産出さんしゅつ 方向ほうこう
意味いみ から語ご へ。次つぎ の内容ないよう を、この章しょう の一語いちご (漢語かんご )で言い え。
① 証明しょうめい も説明せつめい もされないまま、問と われずに通とお っている当あ たり前まえ
② 事実じじつ の真偽しんぎ ではなく、意味いみ ・価値かち ・存在そんざい そのものに向む けられる疑うたが い
③ 明確めいかく な根拠こんきょ がなく、自分じぶん 勝手かって であること(「言語げんご の__性せい 」)
④ 無な いのではなく、まだ表ひょう に現あらわ れていないこと
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう ①自明じめい ——明白めいはく が〈見み れば分わ かる〉ことなのに対たい し、自明じめい は〈問と われないまま通とお っている〉こと。だから評ひょう 論ろん は「自明じめい 性せい を疑うたが う」。②懐疑かいぎ ——疑問ぎもん が事実じじつ の真偽しんぎ に向む かうのに対たい し、懐疑かいぎ は意味いみ ・価値かち ・存在そんざい そのものに向む かう。③恣意しい ——「恣し 」はほしいまま。「制度せいど の恣意性しいせい 」「言語げんご の恣意性しいせい 」。④潜在せんざい ——外そと に現あらわ れていないだけで、確たし かに有あ る。無な いものには使つか えない。
原理げんり 受容じゅよう と産出さんしゅつ は別べつ の能力のうりょく 。「読よ める語ご 」を「出で てくる語ご 」に変か えるには、定義ていぎ →語ご の向む きで想起そうき するしかない。各かく 答こた えに近傍きんぼう 語ご との線せん (明白めいはく ・疑問ぎもん ・顕在けんざい )を添そ えるのは、想起そうき の手て がかりを差異さい の側がわ に置お くため。
Q09
L2 弁別べんべつ
弁別べんべつ 群ぐん
1-1 ☑36・☑37
P8同音どうおん
同音どうおん の「じりつ」——自律じりつ と自立じりつ ——に線せん を引ひ け。①それぞれの核かく を述の べ、②「経済的けいざいてき にじりつする」「カントの言い うじりつ」はどちらの字じ か。③他律たりつ の定義ていぎ を添そ えよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 自律じりつ は〈自分じぶん で自分じぶん をコントロールする〉こと——律りつ の対象たいしょう は自分自身じぶんじしん の意志いし 。自立じりつ は〈依存いぞん からの独どく り立た ち〉——問題もんだい は生計せいけい や生活せいかつ の基盤きばん 。経済けいざい の文脈ぶんみゃく は自立じりつ 、道徳どうとく 哲学てつがく の文脈ぶんみゃく は自律じりつ 。他律たりつ はその反対はんたい で、自みずか らの意志いし ではなく罰ばつ や命令めいれい への恐おそ れから行動こうどう すること。
原理げんり 同音どうおん 語ご の混同こんどう は文脈ぶんみゃく で自動じどう 修復しゅうふく されない(どちらでも文ぶん が成立せいりつ してしまう)から、書か き手て の側がわ で線せん を持も っておくしかない。
Q10
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-1 ☑16・☑17
P3極きょく 性せい
判定はんてい せよ。
a「毎まい 朝あさ のランニングが自己じこ 目的もくてき 化か し、走はし ること自体じたい が喜よろこ びになった。」
b「手段しゅだん が目的もくてき にすり替か わる現象げんしょう は、常つね に倒錯とうさく と呼よ ぶべきである。」
aは適切てきせつ か。bの主張しゅちょう は正ただ しいか。二に 語ご の極きょく 性せい の差さ を軸じく に答こた えよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう a は適切てきせつ 。自己じこ 目的もくてき 化か は、受験じゅけん 勉強べんきょう が目的もくてき 化か する(マイナス)例れい にも、行為こうい それ自体じたい が喜よろこ びになる(プラス)例れい にも使つか える中立ちゅうりつ 語ご 。b は誤あやま り。倒錯とうさく は否定的ひていてき な評価ひょうか を込こ めて使つか うのがほとんどで、〈すり替か わり一般いっぱん 〉の中立的ちゅうりつてき な名前なまえ ではない。同おな じ現象げんしょう を指さ しても、語ご の選択せんたく が書か き手て の評価ひょうか を宣言せんげん してしまう——これが評価ひょうか 極きょく 性せい という層そう である。
原理げんり 辞書じしょ 義ぎ が同おな じでも極きょく 性せい が違ちが えば別べつ の語ご 。極きょく 性せい の取と り違ちが え(P3)は「意味いみ は合あ っているのに立場たちば を裏切うらぎ る」最もっと も高度こうど な誤ご 用よう で、読よ み手て には強つよ い違和いわ として届とど く。
Q11
L4 横断おうだん
弁別べんべつ 群ぐん
1-1 ☑26・☑31/1-7 ☑150
P4含意がんい
「価値かち の相対そうたい 化か 」と「価値かち の多元たげん 化か 」は同おな じことを言い っているのか。相対そうたい ・多元たげん それぞれの核かく から二ふた つの言明げんめい の違ちが いを説明せつめい し、さらに「多元たげん 」と「多様たよう 」の線せん (1-7「多様性たようせい 」参照さんしょう )を引ひ け。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 別べつ のことである。相対そうたい 化か は、ある価値かち から〈唯一ゆいいつ である〉という地位ちい を剥は ぐ操作そうさ ——一ひと つの価値かち についての話はなし 。多元たげん 化か は、根本こんぽん となる原理げんり そのものが複数ふくすう 並なら び立た つようになる事態じたい ——体系たいけい 全体ぜんたい の話はなし 。だから「道徳どうとく の絶対ぜったい 性せい が揺ゆ らいだ」は相対そうたい 化か で語かた り、「複数ふくすう の宗教的しゅうきょうてき 原理げんり が並存へいそん する社会しゃかい 」は多元たげん で語かた る。さらに多様たよう は〈現あらわ れ方ほう 〉の豊富ほうふ さ、多元たげん は〈根本こんぽん の数かず 〉。現あらわ れが多彩たさい でも根ね が一ひと つなら、多様たよう ではあるが多元たげん ではない。
原理げんり 似に た方向ほうこう を向む く語ご ほど、指さ している水準すいじゅん (一ひと つの項こう /体系たいけい /現あらわ れ)が違ちが う。水準すいじゅん の弁別べんべつ ができると、「相対そうたい 主義しゅぎ 」「多元たげん 主義しゅぎ 」「多様性たようせい の尊重そんちょう 」という三みっ つの主張しゅちょう を混ま ぜずに読よ める。
Q12
L3 運用うんよう
推敲すいこう
1-1 ☑1・☑25
P2格かく
次つぎ の話はな し言葉ことば を、評ひょう 論文ろんぶん の一文いちぶん に推敲すいこう せよ。
「絶対ぜったい に間違まちが いのない、いつでもどこでも誰だれ にでも当あ てはまるような法則ほうそく 」
条件じょうけん :核心かくしん を漢語かんご 一語いちご で圧縮あっしゅく し、口語こうご の「絶対ぜったい に」を評ひょう 論ろん の格かく に合あ う語ご に処理しょり すること。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 成せい 案あん 例れい :「普遍的ふへんてき 法則ほうそく 」/「例外れいがい を許ゆる さぬ普遍的ふへんてき 法則ほうそく 」。
処理しょり :〈いつ・どこ・誰だれ にでも〉という枚まい 挙きょ は、普遍ふへん の一語いちご が既すで に含ふく んでいる。口語こうご の強調きょうちょう 「絶対ぜったい に」は評ひょう 論文ろんぶん では「必かなら ず」へ——ただしここでは「普遍ふへん 」が例外れいがい ゼロを含意がんい するため、重かさ ねず削けず るのが最もっと も美うつく しい。
原理げんり 推敲すいこう の快かい 感かん は〈枚まい 挙きょ が一語いちご に畳たた まれる〉瞬間しゅんかん にある。雅語がご の価値かち は装飾そうしょく ではなく圧縮率あっしゅくりつ ——同おな じ内容ないよう をより少すく ない語ご で、より正確せいかく に。
Q13
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-1 ☑38・☑39
P10範囲はんい
判定はんてい せよ。
「彼かれ には音楽おんがく の才能さいのう がまったく無な いが、潜在的せんざいてき には大器たいき かもしれない。」
この文ぶん が破綻はたん している理由りゆう を、潜在せんざい の適用範囲てきようはんい から述の べよ。あわせて「顕在けんざい 」が単独たんどく ではまれで、どの形かたち で現あらわ れるかを述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 破綻はたん している。潜在せんざい は〈内ない にひそんで現あらわ れていないが、有あ る〉状態じょうたい を指さ す語ご であり、「まったく無な い」と宣言せんげん した対象たいしょう には適用てきよう できない(適用範囲てきようはんい の誤あやま り)。書か くなら「表ひょう に現あらわ れていないだけかもしれない」=存在そんざい 判断はんだん そのものを保留ほりゅう する形かたち に直なお す。顕在けんざい は単独たんどく ではまれで、「問題もんだい が顕在化けんざいか した」のように、見み えなかったものが表面ひょうめん に出で る動うご きとして使つか う。
原理げんり 語ご には〈使つか える対象たいしょう の範囲はんい 〉が定義ていぎ に先立さきだ って張ば り付つ いている(P10)。範囲はんい 違反いはん は論理ろんり 矛盾むじゅん として読者どくしゃ に露呈ろてい するため、極きょく 性せい 違反いはん より発見はっけん されやすく、致命ちめい 度ど も高たか い。
Q14
L2 弁別べんべつ
弁別べんべつ 群ぐん
1-1 ☑18・☑32・☑33
外来語がいらいご 三さん すくみ
パラドックス・アイロニー・ディレンマ。①各かく 語ご の核かく を一文いちぶん で述の べ、②次つぎ を割わ り当あ てよ。
a「急いそ がば回かい れ」 b(失敗しっぱい した部下ぶか に)「実じつ に見事みごと な仕事しごと ぶりだね」 c「甘あま い物もの は食た べたいが、痩や せたい」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう パラドックス=一見いっけん 矛盾むじゅん するが真理しんり を含ふく む言明げんめい (a:急いそ ぐなら回まわ るほうが早はや い)。アイロニー=真しん 意い と逆ぎゃく のことを言い って悟さと らせる技法ぎほう (b:賞賛しょうさん の形かたち をした叱責しっせき )。ディレンマ=両立りょうりつ 不能ふのう の二に 択たく に挟はさ まれる状況じょうきょう (c)。三さん 語ご は位相いそう が違ちが う——パラドックスは〈言明げんめい 〉の性質せいしつ 、アイロニーは〈発話はつわ 〉の技法ぎほう 、ディレンマは〈状況じょうきょう 〉の名な 。
原理げんり 外来語がいらいご は日本語にほんご の類るい 語ご 網もう に接続せつぞく されないまま漂ひょう いやすい。「どの位相いそう の語ご か」で留と めると、三さん 語ご は互たが いに衝突しょうとつ しなくなる。
第だい 二に 集しゅう
科学かがく と言語げんご
第だい 1部いちぶ 1-2・1-3 ── 全ぜん 10問じゅうもん ・配点はいてん 34
取得しゅとく 0 / 34
Q15
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-2 ☑53・☑54
論理ろんり
帰納きのう と演繹えんえき 。①それぞれを定義ていぎ し、②「観察かんさつ したスワンがすべて白しろ かった。ゆえにすべてのスワンは白しろ い」はどちらで、どこが脆もろ いか。③演繹えんえき の強つよ み(前提ぜんてい と結論けつろん の関係かんけい )を述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 帰納きのう は個別こべつ 事例じれい から一般いっぱん 法則ほうそく へ上あ がる推論すいろん ——ただし事例じれい の山やま は自動的じどうてき に法則ほうそく にならず、〈すべての〉という形かたち にまとめる飛躍ひやく を含ふく む。スワンの例れい はその典型てんけい で、飛躍ひやく ゆえに反例はんれい 一ひと つ(黒鳥こくちょう )で崩くず れる。演繹えんえき は法則ほうそく から個別こべつ へ下お りる推論すいろん で、前提ぜんてい が正ただ しければ結論けつろん は必かなら ず正ただ しい——確実かくじつ さと引ひ き換か えに、前提ぜんてい の外そと へは一歩いっぽ も出で られない。
原理げんり 帰納きのう の脆もろ さと演繹えんえき の不ふ 生産性せいさんせい は裏表うらおもて で、だから科学かがく は仮説かせつ (帰納的きのうてき 飛躍ひやく )→検証けんしょう (演繹えんえき 的てき 予測よそく の照合しょうごう )という循環じゅんかん を採と る。次問じもん へ接続せつぞく 。
Q16
L2 弁別べんべつ
産出さんしゅつ
1-2 ☑45・☑46・☑52
産出さんしゅつ 方向ほうこう
科学かがく の手続てつづ きを語ご で埋う めよ。
「現象げんしょう を説明せつめい するため、仮かり に立た てられた説せつ を_A_と呼よ ぶ。実験じっけん ・観察かんさつ によってその真偽しんぎ を確たし かめる手続てつづ きが_B_。経験けいけん 的てき 事実じじつ にもとづいて証明しょうめい することを_C_と言い い、論理ろんり だけで導みちび く_D_とは区別くべつ される。Aが確たし かめ終お えられると、_E_・理論りろん と呼よ び名な が変か わる。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう A仮説かせつ →B検証けんしょう →C実証じっしょう (対たい :D論証ろんしょう )→E法則ほうそく 。
仮説かせつ は〈未確認みかくにん 〉が定義ていぎ に織お り込こ まれた語ご で、確たし かめ終お えた瞬間しゅんかん に法則ほうそく ・理論りろん へ改かい 名めい される。実証じっしょう と論証ろんしょう の線せん は〈経験けいけん 的てき 事実じじつ に触ふ れるか、論理ろんり だけか〉。
原理げんり この五ご 語ご は個別こべつ の単語たんご ではなく一本いっぽん の手続てつづ きの各駅かくえき 。流なが れで持も てば、どれか一ひと つを忘わす れても隣となり の駅えき から復元ふくげん できる——網あみ で覚おぼ える語彙ごい の利り 点てん 。
Q17
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-2 ☑51 ⚠
P4含意がんい
判定はんてい せよ。
「新しん 政策せいさく の導入どうにゅう 後ご に犯罪はんざい 率りつ が下さ がった。ゆえに両者りょうしゃ の因果いんが 関係かんけい は明あき らかだ。」
「因果いんが 」の定義ていぎ に照て らして、この推論すいろん の欠陥けっかん を指摘してき せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 欠陥けっかん は、時間的じかんてき な前後関係ぜんごかんけい を因果いんが に格かく 上あ げしている点てん 。因果いんが と呼よ ぶには〈一方いっぽう が他方たほう を生しょう じさせている〉ことが要い り、継起けいき はその証拠しょうこ にならない——景けい 気き の変動へんどう という第だい 三さん の原因げんいん が両方りょうほう を動うご かした可能性かのうせい も、偶然ぐうぜん (☑8:因果いんが が分わ からず予測よそく できないこと)の可能性かのうせい も排除はいじょ されていない。
原理げんり 「後あと に起お きた、ゆえに因もと って起お きた」は最古さいこ の誤謬ごびゅう の一ひと つ。因果いんが ・偶然ぐうぜん ・必然ひつぜん の三さん 語ご は、この誤謬ごびゅう を切き るための刃は として一組ひとくみ で持も つ。
Q18
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-2 ☑42・☑43・☑44
P10範囲はんい
機械論きかいろん ・要素ようそ 論ろん ・複雑系ふくざつけい 。①各かく 立場たちば の核かく を述の べよ。②「人体じんたい はきわめて複雑ふくざつ だから複雑系ふくざつけい だ」はなぜ不可ふか か。③要素ようそ 論ろん の中身なかみ は〈分解ぶんかい すること〉ではない。では何なに か。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 機械論きかいろん は〈部品ぶひん +因果いんが 法則ほうそく で全体ぜんたい を説明せつめい できる〉とする立場たちば 。要素ようそ 論ろん の中身なかみ は分解ぶんかい という操作そうさ ではなく、〈分解ぶんかい すれば全体ぜんたい が分わ かる〉という主張しゅちょう 。複雑系ふくざつけい はその主張しゅちょう が破やぶ れる場所ばしょ ——要素ようそ が相互そうご に影響えいきょう し合あ うため、個々ここ をいくら調しら べても全体ぜんたい の振ふ る舞ま いが読よ めない系けい を言い う。ゆえに「複雑ふくざつ だから複雑系ふくざつけい 」は不可ふか 。複雑系ふくざつけい は複雑ふくざつ さの程度ていど ではなく、説明せつめい の様式ようしき (還元かんげん の失敗しっぱい )を指さ す語ご である。
原理げんり 三さん 語ご は〈還元かんげん (☑27)が効き くか〉という一ひと つの軸じく の上うえ に並なら ぶ。語ご を軸じく 上じょう の位置いち として持も つと、初見しょけん の文章ぶんしょう でも立場たちば の対立たいりつ が図ず として見み える。
Q19
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-2 ☑47・☑49
P4含意がんい
判定はんてい せよ。
a「彼かれ は科学かがく を深ふか く尊重そんちょう している。つまり科学かがく 主義者しゅぎしゃ だ。」
b「科学かがく の中立ちゅうりつ 性せい とは、科学者かがくしゃ が政治的せいじてき に中立ちゅうりつ であるべきだという規範きはん である。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう aは誤あやま り。尊重そんちょう と万能ばんのう 視し は別べつ で、科学かがく 主義しゅぎ と呼よ べるのは〈あらゆる問題もんだい が科学かがく で解決かいけつ できる〉とみなす立場たちば だけ。「〜主義しゅぎ 」は態度たいど の強つよ さではなく主張しゅちょう の範囲はんい を示しめ す。bも誤あやま り。科学かがく の中立ちゅうりつ 性せい は科学者かがくしゃ の政治的せいじてき 立場たちば の話はなし ではなく、〈科学かがく それ自体じたい は善ぜん でも悪あく でもない〉という科学かがく の性質せいしつ についての主張しゅちょう であり、「ゆえに使つか う人間にんげん の責任せきにん だ」という帰結きけつ とセットで現あらわ れる。
原理げんり 「〜主義しゅぎ 」は〈度ど が過す ぎた尊重そんちょう 〉ではなく〈特定とくてい の主張しゅちょう 〉の名な 。この規則きそく は 功利こうり 主義しゅぎ ・科学かがく 主義しゅぎ ・合理主義ごうりしゅぎ すべてに外挿がいそう でき、Set 4 の判定はんてい 問題もんだい の土台どだい になる。
Q20
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-3 ☑57・☑61・☑64・☑66
外来語がいらいご
メタファー・アナロジー・象徴しょうちょう ・アレゴリー。①メタファーと直喩ちょくゆ (シミリ)の線せん は何なに で引ひ かれるか。②アナロジーに要求ようきゅう される「単たん なる類似るいじ 」以上いじょう のものは何なに か。③象徴しょうちょう とアレゴリーは〈対応たいおう の決き まり方ほう 〉でどう分わ かれるか。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう メタファーと直喩ちょくゆ は内容ないよう ではなく形式けいしき で分わ かれる——「のようだ」を使つか えば直喩ちょくゆ 、伏ふ せればメタファー。アナロジーは〈AとBが似に ている〉では足た りず、〈Aの内部ないぶ 関係かんけい とBの内部ないぶ 関係かんけい が対応たいおう する〉ことを使つか って未知みち を推すい す操作そうさ 。象徴しょうちょう とアレゴリーは対応たいおう の決き まり方ほう で分わ かれる:象徴しょうちょう は意味いみ が汲く み尽つ くせず開ひら かれている(鳩はと と平和へいわ )、アレゴリーは全体ぜんたい の対応たいおう が一いち 対たい 一いち に固定こてい されている(寓話ぐうわ の教訓きょうくん )。
原理げんり 修辞しゅうじ の語ご 群ぐん は〈形式けいしき /関係かんけい /開かい 閉へい 〉という三みっ つの判定基準はんていきじゅん に還元かんげん できる。基準きじゅん で持も てば、初見しょけん の表現ひょうげん も分類ぶんるい できる——事例じれい 暗記あんき との決定的けっていてき な差さ 。
Q21
L4 横断おうだん
運用うんよう 判定はんてい
1-3 ☑67/1-1 ☑35
P4含意がんい
判定はんてい し、二に 語ご を接続せつぞく せよ。
「虹にじ が七色なないろ に見み えるのは、光ひかり のスペクトルに七なな つの切き れ目め が実在じつざい するからである。」
①「分節ぶんせつ 」の定義ていぎ からこの文ぶん の誤あやま りを述の べよ。②この誤あやま りの根ね にある性質せいしつ を、1-1の一語いちご (「言語げんご の__性せい 」)で言い え。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 誤あやま り。スペクトルは連続れんぞく 体からだ であり、七なな つの切き れ目め は光ひかり の側がわ に実在じつざい しない。七色なないろ は日本語にほんご (の色彩しきさい 語彙ごい )が連続れんぞく 体からだ に入い れた切き れ目め ——これが分節ぶんせつ である。そしてどこで切き るかに必然的ひつぜんてき 根拠こんきょ はなく、言語げんご によって色いろ の数かず は異こと なる。切き り方かた の無む 根拠こんきょ 性せい こそ言語げんご の恣意性しいせい であり、分節ぶんせつ と恣意しい は〈切き る働はたら き〉と〈切き り方かた の性質せいしつ 〉として一いち 対たい で理解りかい される。
原理げんり 章しょう をまたいで語ご が結線けっせん される最初さいしょ の例れい 。「分節ぶんせつ =恣意的しいてき な切き り分わ け」という一句いっく が持も てれば、ソシュール系けい の評ひょう 論ろん は骨格こっかく から読よ める。
Q22
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-3 ☑62 ⚠・☑63・☑60
P10範囲はんい
判定はんてい せよ。
a「私わたし が自分じぶん 用よう に決き めた略記りゃっき 法ほう も、一ひと つのコードである。」
b「言葉ことば でないものは記号きごう ではない。」
それぞれ可否かひ を述の べ、あわせてコンテクストが「前後ぜんご の文ぶん 」に尽つ きない理由りゆう を述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう a不可ふか ——コードの要件ようけん は共有きょうゆう であり、独どく りで決き めた略記りゃっき は約束事やくそくごと の体系たいけい にならない。b誤あやま り——記号きごう の要件ようけん は〈別べつ の何なに かを意味いみ する関係かんけい 〉の成立せいりつ であって、言語げんご であることではない。赤あか 信号しんごう も喪服もふく も記号きごう である。コンテクストは表現ひょうげん の意味いみ を決き める周囲しゅうい の条件じょうけん の総体そうたい で、前後ぜんご の文ぶん (言語的げんごてき 文脈ぶんみゃく )に加くわ えて、場面ばめん ・人間にんげん 関係かんけい ・文化ぶんか までを含ふく む。
原理げんり 記号きごう 論ろん の三さん 語ご は要件ようけん (共有きょうゆう /意味いみ 関係かんけい /周囲しゅうい 条件じょうけん )で定義ていぎ される。要件ようけん で持も つと「何なに が含ふく まれ、何なに が漏も れるか」を自力じりき で判定はんてい でき、範囲はんい の誤あやま り(P10)を犯おか さなくなる。
Q23
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-3 ☑70・☑71・☑72
P4含意がんい
一義いちぎ ・両義りょうぎ ・多義たぎ 。①「この語ご には意味いみ が二ふた つある。ゆえに両義りょうぎ 的てき だ」はなぜ短絡たんらく か。②多義たぎ が両義りょうぎ と分わ かれる点てん は。③「一義いちぎ 的てき に重要じゅうよう な課題かだい 」の「一義いちぎ 」はどの用法ようほう か。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 両義りょうぎ の要件ようけん は数かず ではなく対立たいりつ ——正反対せいはんたい の意味いみ を同時どうじ に抱かか えること(毒どく にも薬くすり にもなる、のような緊張きんちょう )。意味いみ が二ふた つあるだけなら多義たぎ の一種いっしゅ にすぎない。多義たぎ は解釈かいしゃく が複数ふくすう 成な り立た つことで、相互そうご の対立たいりつ は要い らない。「一義いちぎ 的てき に重要じゅうよう 」は〈第一だいいち の・根本こんぽん の〉という用法ようほう ②であり、〈解釈かいしゃく が一ひと つしかない〉用法ようほう ①と混同こんどう すると読よ み違ちが える。
原理げんり 接辞せつじ (一いち ・両りょう ・多た )が規則的きそくてき に見み えて、両義りょうぎ だけ〈対立たいりつ 〉という追加ついか 要件ようけん を持も つ。規則きそく の中なか の例外れいがい こそ、外挿がいそう 型がた の学習者がくしゅうしゃ が明示めいじ 的てき に印しるし を付つ けるべき場所ばしょ 。
Q24
L3 運用うんよう
中日ちゅうにち 対照たいしょう
1-3 ☑65 ⚠
P9 L1干渉かんしょう
「表象ひょうしょう 」について。①日本語にほんご (哲学てつがく ・評ひょう 論ろん )での意味いみ を述の べよ。②中国語ちゅうごくご の 表象ひょうしょう (表面ひょうめん に現あらわ れたすがた, biǎoxiàng)は〈本质(本質ほんしつ , běnzhì)〉と対たい で使つか われる。日中にっちゅう で語ご の立た ち位置いち がどう食く い違ちが うかを述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 日本語にほんご の表象ひょうしょう は〈意識いしき に立た ち現あらわ れた像ぞう 〉——在処ありか は心こころ の内ない であり、外そと の物もの そのものと区別くべつ するための語ご 。中国語ちゅうごくご の 表象ひょうしょう は〈本质〉の対たい 概念がいねん で、対象たいしょう の外面そとづら にあらわれたすがたを指さ す(透过表象看本质)。つまり同おな じ二字にじ が、日本語にほんご では認識にんしき の内側うちがわ を、中国語ちゅうごくご では対象たいしょう の表面ひょうめん を指さ しており、像ぞう の在処ありか が内外ないがい でほぼ反転はんてん する。哲学的てつがくてき な文章ぶんしょう でこの語ご を見み たら、どちらの座標ざひょう 系けい かをまず確たし かめること。
原理げんり 敷衍ふえん が〈評価ひょうか の反転はんてん 〉なら、表象ひょうしょう は〈位置いち の反転はんてん 〉。同どう 形けい 語ご の危険きけん は意味いみ のずれの大小だいしょう ではなく、ずれの方向ほうこう が体系的たいけいてき に読よ み違ちが いを生う むかどうかで測はか る。
第だい 三さん 集しゅう
文化ぶんか と哲学てつがく
第だい 1部いちぶ 1-4・1-5 ── 全ぜん 12問じゅうにもん ・配点はいてん 37
取得しゅとく 0 / 37
Q25
L3 運用うんよう
中日ちゅうにち 対照たいしょう
1-4 ☑79 ⚠
P9 L1干渉かんしょう
「世間せけん 」について。①「社会しゃかい 」と「世間せけん 」を、規則きそく の及およ ぶ範囲はんい という観点かんてん で弁別べんべつ せよ。②中国語ちゅうごくご の 世间(この世よ ・世よ の中なか , shìjiān)と日本語にほんご の「世間せけん 」のずれを述の べよ。③「世間体せけんてい 」「世間せけん が許ゆる さない」が「社会しゃかい 体からだ 」「社会しゃかい が許ゆる さない」と言い えない理由りゆう を説明せつめい せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 社会しゃかい は、見知みし らぬ者もの どうしを含ふく めて規則きそく が等ひと しく及およ ぶ抽象的ちゅうしょうてき な全体ぜんたい 。世間せけん は、顔かお の見み える範囲はんい にだけ広ひろ がる具体的ぐたいてき な圏けん で、その内側うちがわ でだけ評判ひょうばん やまなざしが働はたら く。中国語ちゅうごくご の 世间 は〈この世よ 〉一般いっぱん を指さ す仏教ぶっきょう 語ご 由来ゆらい の語ご で、この〈顔かお の見み える範囲はんい 〉という含ふく みを持も たない——ゆえに社会学しゃかいがく の議論ぎろん では日本語にほんご のまま「世間せけん 」と用もち いられることが多おお い。「世間体せけんてい 」「世間せけん が許ゆる さない」は、具体的ぐたいてき な他人たにん のまなざしを前提ぜんてい にした表現ひょうげん だから、匿名とくめい の全体ぜんたい である社会しゃかい には接つ げない。
原理げんり 訳語やくご が無な いのは概念がいねん が無な いから。訳語やくご 不在ふざい の語ご (世間せけん ・通底つうてい ・自己じこ 責任せきにん )は、日本語にほんご で思考しこう する際さい の固有こゆう の座標ざひょう であり、母語ぼご 話者わしゃ 性せい の核心かくしん に最もっと も近ちか い語ご 群ぐん である。
Q26
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-4 ☑73・☑74
P4含意がんい
「文化ぶんか 」と「文明ぶんめい 」。①評ひょう 論文ろんぶん における対比たいひ の軸じく (普遍ふへん /固有こゆう 、物質ぶっしつ /精神せいしん )を述の べよ。②「文明ぶんめい の衝突しょうとつ 」と「文化ぶんか の衝突しょうとつ 」で、含意がんい はどう変か わるか。③「文化ぶんか 的てき な生活せいかつ 」という日常にちじょう 語ご の「文化ぶんか 」が、評ひょう 論ろん の「文化ぶんか 」とずれる点てん を指摘してき せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 評ひょう 論ろん の対比たいひ では、文明ぶんめい は技術ぎじゅつ ・物質ぶっしつ の側がわ で普遍的ふへんてき ——どの社会しゃかい にも伝つた わり、進すす んだ/遅おく れたの座標ざひょう に乗の りやすい。文化ぶんか は精神せいしん ・生活せいかつ 様式ようしき の側がわ で固有こゆう ——共同体きょうどうたい ごとに異こと なり、優劣ゆうれつ の座標ざひょう には乗の せないのが建前たてまえ 。「文明ぶんめい の衝突しょうとつ 」は体系たいけい 規模きぼ の対立たいりつ を、「文化ぶんか の衝突しょうとつ 」は固有こゆう の価値かち の摩擦まさつ を含意がんい する。日常にちじょう 語ご の「文化ぶんか 的てき な生活せいかつ 」は快適かいてき さ・洗練せんれん の意い で、評ひょう 論ろん の〈固有こゆう 性せい 〉とは別べつ layer。同おな じ字面じづら の中なか で層そう が切き り替か わることに注意ちゅうい 。
原理げんり 文化ぶんか /文明ぶんめい の軸じく は、次つぎ の自じ 文化ぶんか 中心ちゅうしん 主義しゅぎ ・文化ぶんか 相対そうたい 主義しゅぎ ・オリエンタリズムがすべてこの上うえ で戦たたか われる土俵どひょう 。軸じく を先さき に張は ると、1-4全体ぜんたい が一いち 枚まい の地図ちず になる。
Q27
L5 メタ
メタ
1-4 ☑75・☑76
自己じこ 言及げんきゅう
文化ぶんか 相対そうたい 主義しゅぎ について。①自じ 文化ぶんか 中心ちゅうしん 主義しゅぎ との関係かんけい を一文いちぶん で述の べよ。②文化ぶんか 相対そうたい 主義しゅぎ が抱かか える自己じこ 言及げんきゅう の難点なんてん を一般化いっぱんか して述の べよ。③この難点なんてん は「どんな文化ぶんか も外そと から裁さば けない」という規範きはん にどう跳は ね返かえ るか。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 文化ぶんか 相対そうたい 主義しゅぎ は、自じ 文化ぶんか を物差ものさ しに他文化たぶんか を測はか る自じ 文化ぶんか 中心ちゅうしん 主義しゅぎ を否定ひてい するために、〈各かく 文化ぶんか は各かく 文化ぶんか の内側うちがわ からしか測はか れない〉と定さだ めた立場たちば 。だがこの〈唯一ゆいいつ の基準きじゅん はない〉という言明げんめい は、それ自体じたい があらゆる文化ぶんか に妥当だとう すべき一ひと つの基準きじゅん として振ふ る舞ま う——自みずか らを例外れいがい 扱あつか いしない限かぎ り自壊じかい する。ゆえに「どんな文化ぶんか も外そと から裁さば くな」という規範きはん は、その規範きはん を共有きょうゆう しない文化ぶんか に対たい しては、まさに外そと からの裁さば きとして働はたら いてしまう。相対そうたい 主義しゅぎ は、自分じぶん だけは相対そうたい 化か を免まぬが れる特権とっけん 席せき を暗黙あんもく に要求ようきゅう している。
原理げんり この自己じこ 言及げんきゅう の型かた は 多様性たようせい ・ポストモダン にもそのまま再演さいえん される(Set 5 で回収かいしゅう )。一度いちど この型かた を抽象ちゅうしょう 化か して持も てば、三みっ つの頻出ひんしゅつ テーマが同一どういつ の骨ほね で読よ める——一いち を聞き いて三さん を得え る箇所かしょ 。
Q28
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-5 ☑89・☑90・☑106・☑107
P8類るい 語ご
主観しゅかん /客観きゃっかん と主体しゅたい /客体きゃくたい は、しばしば混用こんよう される。①主観しゅかん と主体しゅたい の線せん を〈働はたら きの種類しゅるい 〉で引ひ け。②客観きゃっかん の二ふた つの用法ようほう を述の べよ。③「働はたら きかけられる側がわ 」「誰だれ にとっても同おな じであること」はそれぞれどの語ご か。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 主観しゅかん は認識にんしき の座ざ ——対象たいしょう を捉とら えて意味いみ づける意識いしき の側がわ 。主体しゅたい は行為こうい の座ざ ——自みずか らの意志いし で働はたら きかける起点きてん 。同おな じ「私わたし 」でも、見み ているときは主観しゅかん 、動うご くときは主体しゅたい として立た つ。客観きゃっかん には二ふた つの用法ようほう が同居どうきょ する:①意識いしき から独立どくりつ に存在そんざい する対象たいしょう そのもの、②誰だれ にとっても同おな じという性質せいしつ 。「働はたら きかけられる側がわ 」は客体きゃくたい (行為こうい の向む かう先さき )、「誰だれ にとっても同おな じ」は客観きゃっかん ②。四よん 語ご は〈認識にんしき /行為こうい 〉×〈こちら側がわ /あちら側がわ 〉の二に 軸じく 四よん 象限しょうげん に整然せいぜん と収おさ まる。
原理げんり 四よん 語ご を二に 軸じく の表ひょう に畳たた むと暗記あんき が消き える。評ひょう 論ろん で「主体性しゅたいせい の喪失そうしつ 」と「主観的しゅかんてき な意見いけん 」が別べつ の話はなし であることも、表ひょう から自動的じどうてき に導みちび ける。
Q29
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-5 ☑93 ⚠・☑94
P4含意がんい
判定はんてい せよ。
「網膜もうまく に光ひかり が届とど いたその瞬間しゅんかん 、彼かれ はそれを一いち 個こ の林檎りんご として認識にんしき した。」
知覚ちかく と認識にんしき の線せん を引ひ いたうえで、この文ぶん の何なに が乱らん 暴ぼう かを述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 知覚ちかく は感覚かんかく 器官きかん による〈捉とら え〉まで、認識にんしき はそこに意味いみ づけと判断はんだん を加くわ えて〈知ち として持も つ〉こと。光ひかり の到達とうたつ は知覚ちかく の入口いりぐち ですらなく、まして「林檎りんご として」という分類ぶんるい は判断はんだん を経へ た認識にんしき である。この文ぶん は、刺激しげき →知覚ちかく →意味いみ づけ→認識にんしき という段階だんかい を「その瞬間しゅんかん 」に潰つぶ しており、認識にんしき に必かなら ず判断はんだん が伴ともな うという要件ようけん を消け してしまっている。評ひょう 論ろん が知覚ちかく と認識にんしき を分わ けるのは、まさにこの〈間あいだ 〉で言語げんご や概念がいねん が働はたら くからである。
原理げんり 知覚ちかく と認識にんしき の〈間あいだ 〉こそ、分節ぶんせつ (☑67)や概念がいねん (☑22)が作動さどう する現場げんば 。この一線いっせん が引ひ けると、認識論にんしきろん 系けい の評ひょう 論ろん の主戦場しゅせんじょう が特定とくてい できる。
Q30
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-5 ☑95・☑96・☑110
P10範囲はんい
①「現象げんしょう 」という語ご が暗黙あんもく に前提ぜんてい している構図こうず を述の べよ。②本質ほんしつ の定義ていぎ に含ふく まれる〈限界げんかい 〉とは何なに か。③「数学すうがく はきわめて抽象的ちゅうしょうてき だ。ゆえに形而上学けいじじょうがく である」の飛躍ひやく を指摘してき せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 現象げんしょう は単たん なる「出来事できごと 」ではなく、〈背後はいご に本質ほんしつ が控ひか えている〉という二に 層そう の構図こうず を呼よ び込こ む語ご ——「現象げんしょう にすぎない」という言い い回まわ しがその前提ぜんてい を露呈ろてい する。本質ほんしつ は〈それが失うしな われれば別物べつもの になる〉性質せいしつ のことで、この定義ていぎ 自体じたい が本質ほんしつ かどうかの判定はんてい 装置そうち になっている。形而上けいじじょう の要件ようけん は〈感覚かんかく を超こ えている〉ことであり、抽象的ちゅうしょうてき というだけでは満み たさない——ゆえに「抽象的ちゅうしょうてき だから形而上学けいじじょうがく 」は要件ようけん の取と り違ちが え。
原理げんり 現象げんしょう /本質ほんしつ は語彙ごい であると同時どうじ に一ひと つの世界観せかいかん (二に 層そう 構造こうぞう )の名な 。語ご を使つか った瞬間しゅんかん にその構図こうず を引ひ き受う けている、という自覚じかく が上級じょうきゅう 者しゃ の読よ みを支ささ える。
Q31
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-5 ☑111・☑112
P10範囲はんい
判定はんてい せよ。
「渡わた り鳥とり の帰き 巣そう 本ほん 能のう は、経験けいけん に先立さきだ つのだから、ア・プリオリな知識ちしき である。」
ア・プリオリの定義ていぎ のどこを取と り違ちが えているか。ア・ポステリオリの定義ていぎ も添そ えよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 誤あやま り。ア・プリオリは〈経験けいけん に先立さきだ つ〉と訳やく されるが、その「先立さきだ つ」は時間じかん や発生はっせい の順序じゅんじょ (生う まれつき)ではなく、正ただ しさが経験けいけん に依存いぞん しないという論理的ろんりてき な関係かんけい を言い う。「1+1=2」は観察かんさつ で確たし かめるまでもなく成な り立た つ——これがア・プリオリ。本ほん 能のう は生得せいとく 的てき ではあるが、その働はたら きの記述きじゅつ はすべて観察かんさつ (経験けいけん )に依存いぞん するア・ポステリオリな知ち である。生物学せいぶつがく の〈生得せいとく 〉と哲学てつがく の〈非ひ 依存いぞん 〉の混同こんどう が、この誤ご 用よう の型かた 。
原理げんり 翻訳ほんやく 語ご ・外来語がいらいご の誤ご 用よう は、訳語やくご (「先立さきだ つ」)の日常にちじょう 義ぎ に引ひ きずられて起お きる。原語げんご の定義ていぎ に一度いちど 戻もど る習慣しゅうかん が、この層そう の事故じこ を防ふせ ぐ。
Q32
L3 運用うんよう
中日ちゅうにち 対照たいしょう
1-5 ☑105 ⚠
P9 L1干渉かんしょう / P7多義たぎ
「コンプレックス」について。①心理学しんりがく の原げん 義ぎ を述の べよ。②日本語にほんご の日常にちじょう 用法ようほう は原げん 義ぎ をどう狭せば めているか。③中国語ちゅうごくご では対応たいおう 概念がいねん を 情结(心的しんてき 複合体ふくごうたい ・こだわり, qíngjié)と言い う(例れい :恋母情结)。日中にっちゅう それぞれの「狭せば め方ほう 」を対比たいひ せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 原げん 義ぎ は〈抑圧よくあつ されて絡から み合あ った感情かんじょう の複合体ふくごうたい 〉——劣等感れっとうかん はその一種いっしゅ (劣等れっとう コンプレックス)にすぎない。日本語にほんご の日常にちじょう 用法ようほう は部分ぶぶん で全体ぜんたい を呼よ ぶ形かたち で〈劣等感れっとうかん 〉に痩や せた。中国語ちゅうごくご の 情结 は同おな じ原げん 義ぎ から出発しゅっぱつ しながら、〈捨す てきれないこだわり〉(恋母情结・故乡情结)の方向ほうこう へ日常にちじょう 化か し、劣等感れっとうかん の意い は担にな わない。同おな じ学術がくじゅつ 語ご が、二ふた つの言語げんご でそれぞれ別べつ の断面だんめん だけを残のこ して日常にちじょう 化か した——という縮減しゅくげん の非対称ひたいしょう が、翻訳ほんやく 時じ の罠わな になる。
原理げんり 外来がいらい 学術がくじゅつ 語ご の日常にちじょう 化か は言語げんご ごとに別べつ の断面だんめん を切き り取と る。「原げん 義ぎ →各かく 言語げんご での縮減しゅくげん 」という三さん 点てん で持も つと、日中にっちゅう どちらの文章ぶんしょう でも復元ふくげん がきく。
Q33
L2 弁別べんべつ
産出さんしゅつ
1-5 ☑98・☑99・☑115
産出さんしゅつ 方向ほうこう
意味いみ から語ご へ。
① 時間じかん を貫つらぬ く連続れんぞく 性せい と、他者たしゃ からの承認しょうにん とに支ささ えられた「自分じぶん が自分じぶん であり続つづ けている」という感覚かんかく
② 人間にんげん 一般いっぱん ではなく、いま現げん に生い きている一回いっかい きりの〈この私わたし 〉のあり方かた
③ 他者たしゃ と区別くべつ された自分じぶん を、自分じぶん として意識いしき する働はたら き
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう ①アイデンティティ——要件ようけん は〈時間じかん を貫つらぬ く連続れんぞく 性せい 〉と〈他者たしゃ からの承認しょうにん 〉の二ふた つ。どちらが欠か けても揺ゆ らぐ。②実存じつぞん ——本質ほんしつ (人間にんげん とは何なに か一般いっぱん )に対たい する、この一回いっかい きりの私わたし の現実げんじつ 存在そんざい 。③自我じが ——自他じた の区別くべつ を前提ぜんてい に、自分じぶん を自分じぶん として意識いしき する働はたら き。三さん 語ご は〈働はたら き(自我じが )→感覚かんかく (アイデンティティ)→あり方かた (実存じつぞん )〉と抽象ちゅうしょう 度ど が上あ がる階段かいだん をなす。
原理げんり 自己じこ をめぐる語ご 群ぐん は階段かいだん として持も つ。2-1「自己じこ /他者たしゃ 」の主題しゅだい 文ぶん は、この階段かいだん のどの段だん の話はなし かを特定とくてい しながら読よ むことになる。
Q34
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-5 ☑113・☑118
P4含意がんい
判定はんてい せよ。
a「双方そうほう の主張しゅちょう の中間ちゅうかん を取と る。これが弁べん 証しょう 法的ほうてき 解決かいけつ である。」
b「彼かれ は母はは を、日ひ によって愛あい したり憎にく んだりした。典型的てんけいてき なアンビヴァレンスである。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう aは誤あやま り。中間ちゅうかん を取と る折衷せっちゅう は対立たいりつ を薄うす めて消け す操作そうさ だが、弁べん 証しょう 法ほう は矛盾むじゅん を保たも ったまま、両者りょうしゃ を汲く み上あ げてより高たか い段階だんかい へ超こ える運動うんどう 。「間あいだ を取と る」と「止揚しよう する」は別べつ の操作そうさ である。bも誤あやま り。アンビヴァレンスの要件ようけん は同時どうじ 性せい ——愛あい と憎ぞう が一ひと つの対象たいしょう に同時どうじ に張ば り付つ いている緊張きんちょう を言い うのであって、日替ひが わりの心こころ 変か わりは含ふく まない。二に 語ご はともに、〈対立たいりつ をどう処理しょり するか〉の様式ようしき そのものが定義ていぎ になっている。
原理げんり 定義ていぎ の核かく が〈対象たいしょう 〉ではなく〈処理しょり の様式ようしき 〉にある語ご 群ぐん 。様式ようしき を取と り違ちが えると、文ぶん 全体ぜんたい の論理ろんり の型かた を読よ み違ちが える。
Q35
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-5 ☑101・☑104
P10範囲はんい
判定はんてい せよ。
a「あの事故じこ そのものが、彼かれ のトラウマだ。」
b「カラオケで騒さわ いだらすっきりした。カタルシスだ。」
それぞれ、定義ていぎ のどの要件ようけん に照て らして厳密げんみつ さを欠か くか。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう aは、出来事できごと と傷きず の混同こんどう 。トラウマは事故じこ ではなく、事故じこ が残のこ して以後いご も作用さよう し続つづ ける傷きず を指さ す——厳密げんみつ には「事故じこ が彼かれ にトラウマを残のこ した」。bは、抑圧よくあつ の要件ようけん を欠か く。カタルシスは〈抑おさ えられていた〉感情かんじょう が解放かいほう されるときの浄化じょうか であって、気き 晴はれ らし一般いっぱん ではない。悲劇ひげき を見み て泣な く経験けいけん が原げん 義ぎ であるように、解放かいほう されるものが先さき に抑おさ えられていなければならない。
原理げんり 日常にちじょう への借用しゃくよう で削けず られた要件ようけん (傷きず の持続性じぞくせい /抑圧よくあつ の先行せんこう )を復元ふくげん する練習れんしゅう 。学術がくじゅつ 語ご を日常にちじょう 文脈ぶんみゃく で厳密げんみつ に使つか えることが、文章ぶんしょう の格かく を一段いちだん 上あ げる。
Q36
L3 運用うんよう
推敲すいこう
1-5 ☑14・☑88
P2格かく
次つぎ の話はな し言葉ことば を、評ひょう 論ろん の一文いちぶん に推敲すいこう せよ。核心かくしん は四字よじ の句く に畳たた めるはずである。
「みんなが当あ たり前まえ だと思おも っていて、誰だれ も疑ぎ おうとしない前提ぜんてい を、あえて疑うたが ってみるのが哲学てつがく だ。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 成せい 案あん 例れい :「哲学てつがく とは、自明じめい 性せい を疑うたが う営いとな みである。」
〈皆みな が当あ たり前まえ とみなし、問と われないまま通とお っている〉という長なが い節せつ は、自明じめい 性せい の一語いちご がすべて含ふく む(自明じめい =問と われないまま通とお っていること)。「あえて〜してみる」という腰こし の低ひく さも、評ひょう 論ろん では「疑うたが う」と言い い切き ることで消き える。三十さんじゅう 字じ が十五じゅうご 字じ に畳たた まれ、しかも精度せいど が上あ がる。
原理げんり 推敲すいこう とは削けず ることではなく、より大おお きな語ご に畳たた み直なお すこと。圧縮率あっしゅくりつ と精度せいど が同時どうじ に上あ がるとき、その語彙ごい は真しん に自分じぶん のものになっている。
第だい 四よん 集しゅう
近代きんだい と現代げんだい
第だい 1部いちぶ 1-6・1-7 ── 全ぜん 12問じゅうにもん ・配点はいてん 41
取得しゅとく 0 / 41
Q37
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-6 ☑119 ⚠・☑120
P10範囲はんい
判定はんてい せよ。
a「その国くに は最新さいしん 技術ぎじゅつ を大量たいりょう に導入どうにゅう した。すなわち近代きんだい 化か を遂と げた。」
b「世俗化せぞくか とは、人々ひとびと が信仰しんこう を捨す てることである。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう aは誤あやま り。近代きんだい 化か の核かく は身分制みぶんせい ・封建ほうけん 制せい からの離脱りだつ と、民みん 主しゅ 的てき ・産業さんぎょう 的てき な編成へんせい への転換てんかん であって、技術ぎじゅつ は指標しひょう の一ひと つにすぎない。技術ぎじゅつ だけ導入どうにゅう して身分みぶん 秩序ちつじょ が残のこ るなら、それは近代きんだい 化か ではない。bも誤あやま り。世俗化せぞくか は社会しゃかい の駆動くどう 原理げんり が宗教しゅうきょう から現世げんせ 的てき 価値かち へ移うつ ることで、個々人ここじん の信仰しんこう の消滅しょうめつ を意味いみ しない——信仰しんこう は残のこ るが、社会しゃかい を動うご かさなくなる。二問にもん とも、〈編成へんせい 原理げんり の変化へんか 〉を〈可視かし 的てき 指標しひょう 〉へ縮ちぢ める同型どうけい の誤あやま り。
原理げんり 社会しゃかい 科学かがく の「〜化か 」は原理げんり の交替こうたい を言い う。この読よ み筋すじ を持も てば、情報じょうほう 化か ・グローバル化か など後続こうぞく の「〜化か 」もすべて〈何なに の原理げんり が何なん に替か わったか〉と問と える。
Q38
L3 運用うんよう
産出さんしゅつ
1-6 ☑122・☑123・☑124
産出さんしゅつ 方向ほうこう
意味いみ から語ご へ。そのうえで三さん 語ご の関係かんけい を一文いちぶん で述の べよ。
① 血縁けつえん ・地ち 縁えん など、選えら んで入はい るのではない結むす びつきを含ふく む、生活せいかつ と価値かち を共有きょうゆう する人ひと の集あつ まり
② 共同体きょうどうたい から切き り離はな され、それ自体じたい で完結かんけつ した単位たんい としての人間にんげん ——近代きんだい がつくり出だ した人間にんげん 像ぞう
③ 自立じりつ した個人こじん が、身分みぶん ではなく契約けいやく によって、自由じゆう と平等びょうどう を前提ぜんてい に結むす ぶ社会しゃかい
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう ①共同体きょうどうたい 、②個人こじん 、③(近代きんだい )市民しみん 社会しゃかい 。
関係かんけい :まず共同体きょうどうたい という〈選えら べない結むす びつき〉があり、近代きんだい がそこから個人こじん という完結かんけつ した単位たんい を切き り出だ し、切き り出だ された個人こじん たちが契約けいやく によって結むす び直なお した社会しゃかい が市民しみん 社会しゃかい である。「個人こじん 」が自然しぜん の産物さんぶつ ではなく近代きんだい の発明はつめい だという一点いってん を外はず すと、この章しょう の議論ぎろん 全体ぜんたい が読よ めなくなる。
原理げんり 三さん 語ご は歴史的れきしてき 順序じゅんじょ を持も つ物語ものがたり として持も つ。物語ものがたり で持も った語彙ごい は、初見しょけん の文章ぶんしょう の中なか で自動的じどうてき に時系列じけいれつ へ整列せいれつ する。
Q39
L4 横断おうだん
運用うんよう 判定はんてい
1-6 ☑125 ⚠・☑126
P4含意がんい
判定はんてい せよ。
「日本にほん はほぼ単一たんいつ 民族みんぞく の国くに であるから、国民こくみん 国家こっか の理念りねん が最もっと も自然しぜん に実現じつげん した例れい と言い える。」
国民こくみん 国家こっか の定義ていぎ に含ふく まれる〈建前たてまえ 〉という規定きてい と、ナショナリズム/愛国心あいこくしん の線せん を用もち いて、この文ぶん の誤あやま りの構造こうぞう を述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 誤あやま りは二に 重じゅう である。第一だいいち に、国民こくみん 国家こっか の定義ていぎ において民族みんぞく と国民こくみん の一致いっち は事実じじつ ではなく建前たてまえ ——どの国民こくみん 国家こっか も内部ないぶ に多様たよう な出自しゅつじ を抱かか えたまま、〈一ひと つの国民こくみん 〉という物語ものがたり で統合とうごう されている。第だい 二に に、「単一たんいつ 民族みんぞく の国くに 」という言明げんめい そのものが、この建前たてまえ が生産せいさん した自己じこ 像ぞう であって、建前たてまえ の実現じつげん 例れい ではなく建前たてまえ の作用さよう 例れい である。ナショナリズムはこの一体いったい 感かん を作つく り出だ し維持いじ する運動うんどう の名な であり、個人こじん の素朴そぼく な愛あい 国こく 感情かんじょう とは水準すいじゅん が違ちが う。
原理げんり 〈事実じじつ /建前たてまえ (虚構きょこう )〉の区別くべつ は ☑19 虚構きょこう の評ひょう 論ろん 義ぎ ——〈想像そうぞう の産物さんぶつ でありながら現実げんじつ を動うご かすもの〉——の応用おうよう 。国民こくみん 国家こっか は「現実げんじつ に作用さよう する虚構きょこう 」の最大さいだい の実例じつれい である。
Q40
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-6 ☑128・☑129・☑130
P4含意がんい
判定はんてい せよ。
a「彼かれ は自分じぶん の利益りえき ばかり考かんが える功利こうり 主義者しゅぎしゃ だ。」
b「市場しじょう で物もの が売買ばいばい される社会しゃかい は、すべて資本しほん 主義しゅぎ 社会しゃかい である。」
c「社会しゃかい 主義しゅぎ とは、国家こっか が経済けいざい を統制とうせい する体制たいせい のことである。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう a:功利こうり 主義しゅぎ の判定基準はんていきじゅん は関係者かんけいしゃ 全体ぜんたい の幸福こうふく の総量そうりょう であり、むしろ利己りこ の反対はんたい 物ぶつ 。俗ぞく 用よう の「損得そんとく 勘定かんじょう 」と学術がくじゅつ 義ぎ を混ま ぜてはならない。b:市場しじょう は資本しほん 主義しゅぎ 以前いぜん から存在そんざい する。資本しほん 主義しゅぎ の要件ようけん は生産せいさん 手段しゅだん の私有しゆう と、利潤りじゅん を資本しほん へ再さい 投下とうか して増殖ぞうしょく させる運動うんどう 。c:社会しゃかい 主義しゅぎ の核かく は生産せいさん 手段しゅだん を社会しゃかい が共有きょうゆう することで、国家こっか 統制とうせい はその一いち 実装じっそう (かつ堕落だらく 形態けいたい でありうる)にすぎない。三問さんもん とも、〈日常にちじょう の連想れんそう 〉が〈定義ていぎ の要件ようけん 〉を上書うわが きする型かた の誤あやま り。
原理げんり Q19で立た てた規則きそく ——「〜主義しゅぎ 」は態度たいど の強つよ さでなく主張しゅちょう の内容ないよう ——の総そう 仕上しあ げ。主義しゅぎ の名な を見み たら要件ようけん を復唱ふくしょう する、を反射はんしゃ にする。
Q41
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
1-1 ☑21/1-6 ☑133/1-7 ☑145
構造こうぞう 抽出ちゅうしゅつ
疎そ 外がい ・フェティシズム・システムの三さん 語ご に共通きょうつう する構造こうぞう を一文いちぶん で述の べよ。そのうえで、三さん 語ご がその共通きょうつう 構造こうぞう をそれぞれ〈どの領域りょういき 〉で語かた っているかを言い い分ぶん けよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 共通きょうつう 構造こうぞう :〈人間にんげん が作つく り出だ したものが自立じりつ し、逆ぎゃく に作つく り手て である人間にんげん を規定きてい する〉という反転はんてん 。
疎そ 外がい はこの反転はんてん を労働ろうどう と制度せいど で語かた る——働はたら く人間にんげん が、自分じぶん の作つく った仕組しく みから押お し出だ される。フェティシズムは価値かち で語かた る——関係かんけい の中なか でしか意味いみ を持も たないはずの物もの (貨幣かへい ・商品しょうひん )が、それ自体じたい で力ちから を持も つかのように崇拝すうはい される。システムは社会しゃかい 全体ぜんたい で語かた る——要素ようそ の相互そうご 関係かんけい が部分ぶぶん の総和そうわ では説明せつめい できない一ひと つの作動さどう となり、誰だれ の意図いと でもないのに人間にんげん を方向ほうこう づける。三さん 語ご は同おな じ骨ほね の、別べつ の部位ぶい の名な である。
原理げんり 評ひょう 論ろん 頻出ひんしゅつ の〈反転はんてん 〉の型かた を一本いっぽん の骨ほね として抽出ちゅうしゅつ する問題もんだい 。骨ほね を持も てば、初見しょけん の文章ぶんしょう で「これは疎そ 外がい 論ろん の変奏へんそう だ」と構造こうぞう から読よ める——語彙ごい のネットワーク化か の到達点とうたつてん 。
Q42
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-6 ☑138・☑139/1-4 ☑82
P4含意がんい
①全体ぜんたい 主義しゅぎ の核かく は「強きょう 権けん 的てき な支配しはい 」ではない。では何なに か。②アナキズムは「無秩序むちつじょ の礼賛らいさん 」ではない。では何なに か。③ドグマが単たん なる「強つよ い信念しんねん 」と分わ かれる点てん は何なに か。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 全体ぜんたい 主義しゅぎ の核かく は強きょう 権けん それ自体じたい ではなく個人こじん の否定ひてい ——全体ぜんたい のために個こ が消去しょうきょ されること。ゆえに強きょう 権けん 的てき でも個人こじん の領分りょうぶん を残のこ す体制たいせい は全体ぜんたい 主義しゅぎ の定義ていぎ から外はず れる。アナキズムは無秩序むちつじょ 願望がんぼう ではなく、支配しはい なき秩序ちつじょ ——権力けんりょく によらない自由じゆう な結合けつごう の構想こうそう 。ドグマを分わ けるのは信念しんねん の強つよ さではなく、検証けんしょう と批判ひはん を受う け付つ けない閉鎖へいさ 性せい である。三さん 語ご とも、俗ぞく 流りゅう の印象いんしょう (怖こわ い・滅茶苦茶めちゃくちゃ ・頑固がんこ )を要件ようけん (個こ の否定ひてい ・支配しはい の否定ひてい ・無む 検証けんしょう )へ置換ちかん することが理解りかい の中身なかみ になる。
原理げんり 政治せいじ 語彙ごい は俗ぞく 流りゅう イメージの引力いんりょく が最もっと も強つよ い語ご 群ぐん 。印象いんしょう を要件ようけん で上書うわが きする作業さぎょう を経へ ないと、評ひょう 論ろん の中なか の政治せいじ 語ご は正確せいかく に読よ めない。
Q43
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
1-7 ☑141・☑142・☑143
定義ていぎ の型かた
大衆たいしゅう 社会しゃかい ・消費しょうひ 社会しゃかい ・情報じょうほう (化か )社会しゃかい 。三さん 語ご のカードはいずれも〈量的りょうてき な理解りかい の否定ひてい 〉から定義ていぎ を始はじ めている。①各かく 語ご について「否定ひてい されている量的りょうてき 理解りかい 」と「本当ほんとう の核かく 」を対たい にして述の べよ。②三さん 語ご に共通きょうつう する定義ていぎ の型かた を一般化いっぱんか せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 大衆たいしゅう 社会しゃかい :人数にんずう の多おお さではなく、自立じりつ した判断はんだん を持も たない匿名とくめい の多数たすう が社会しゃかい の主役しゅやく になったこと(質しつ の交替こうたい )。消費しょうひ 社会しゃかい :購買こうばい 量りょう ではなく、生産せいさん に代だい わって消費しょうひ が社会しゃかい を動うご かす原理げんり になり、物もの をその機能きのう でなく意味いみ のために買か うようになったこと(原理げんり の交替こうたい )。情報じょうほう 化か 社会しゃかい :情報量じょうほうりょう の増大ぞうだい ではなく、情報じょうほう が物もの やエネルギーより上位じょうい の価値かち になったこと(序列じょれつ の交替こうたい )。三さん 語ご に共通きょうつう する型かた ——〈量的りょうてき 変化へんか に見み えるものを、原理げんり ・主役しゅやく ・序列じょれつ の質的しつてき 交替こうたい として定義ていぎ し直なお す〉。これは Q37 の「〜化か 」の読よ み筋すじ と同一どういつ である。
原理げんり 定義ていぎ の〈型かた 〉そのものを一般化いっぱんか させる問題もんだい 。型かた を一ひと つ持も てば、監視かんし 社会しゃかい ・リスク社会しゃかい など未習みしゅう の「〜社会しゃかい 」も、自力じりき で正ただ しい水準すいじゅん の定義ていぎ を立た てられる。
Q44
L3 運用うんよう
中日ちゅうにち 対照たいしょう
1-7 ☑147
P9 L1干渉かんしょう
「リスク」と「危険きけん 」。①二に 語ご の線せん を〈計算けいさん 〉という観点かんてん で引ひ け。②「落雷らくらい のリスク」と「落雷らくらい の危険きけん 」はどう使つか い分わ けるか。③中国語ちゅうごくご の 风险(リスク, fēngxiǎn)/危险(危険きけん , wēixiǎn)の対たい は、日本語にほんご の対たい とほぼ平行へいこう する。それでも中国語ちゅうごくご 話者わしゃ が「危険きけん 」を過剰かじょう に使つか いがちになる理由りゆう を、日常にちじょう 語ご の使用しよう 頻度ひんど から推定すいてい せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう リスクの要件ようけん は計算けいさん ——損失そんしつ の可能性かのうせい が確率かくりつ として見積みつ もられ、管理かんり の対象たいしょう になっていること。危険きけん は計算けいさん を前提ぜんてい しない害がい の可能性かのうせい 一般いっぱん で、目前もくぜん の警告けいこく に向む く。年間ねんかん 統計とうけい を語かた るなら「落雷らくらい のリスク」、雷雲らいうん の下もと では「落雷らくらい の危険きけん 」。中国語ちゅうごくご の 风险/危险 の対たい も同おな じ線せん で切き れるが、日常にちじょう 語ご としては 危险 の使用しよう 域いき が広ひろ く 风险 は術語じゅつご 寄よ りであるため、その頻度ひんど の癖くせ が日本語にほんご に転写てんしゃ されて「危険きけん 」過剰かじょう になりやすい——ただしこの最後さいご の点てん は使用しよう 実態じったい からの推論すいろん であり、規範きはん ではない。
原理げんり 意味いみ の対立たいりつ が平行へいこう していても、使用しよう 頻度ひんど の分布ぶんぷ は言語げんご ごとに違ちが う——干渉かんしょう は意味いみ だけでなく頻度ひんど からも起お きる。推論すいろん と事実じじつ を分わ けて示しめ すのは、この観察かんさつ が統計的とうけいてき 裏うら づけを持も たないため。
Q45
L3 運用うんよう
運用うんよう 判定はんてい
1-7 ☑154・☑155・☑157
P4含意がんい
判定はんてい せよ。
a「女性じょせい は人口じんこう の約やく 半数はんすう を占し める。ゆえにマイノリティーではあり得とく ない。」
b「ジェンダーとは、男女だんじょ の身体的しんたいてき な差異さい のことである。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう aは誤あやま り。マジョリティーの定義ていぎ は〈数かず の多おお さ〉に加くわ えて〈自分じぶん たちのあり方かた が標準ひょうじゅん とみなされている状態じょうたい 〉を含ふく み、マイノリティーは〈標準ひょうじゅん から外はず れた者もの として扱あつか われ、不利益ふりえき を受う けている状態じょうたい 〉を含ふく む。ゆえに人口じんこう 比ひ が半々はんはん でも、標準ひょうじゅん の座ざ がどちらにあるかで非対称ひたいしょう は生しょう じる。bも誤あやま り。ジェンダーはまさに身体的しんたいてき 差異さい (セックス)から区別くべつ するために導入どうにゅう された語ご で、社会的しゃかいてき ・文化ぶんか 的てき につくられた性せい 差さ を指さ す。定義ていぎ の存在そんざい 理由りゆう (何なに と切き るための語ご か)ごと覚おぼ えるべき語ご である。
原理げんり この二に 対たい は〈語ご が何なに を切き るために作つく られたか〉という発生はっせい の理由りゆう が定義ていぎ の中身なかみ になっている。理由りゆう ごと持も てば、俗ぞく 流りゅう の量的りょうてき 理解りかい へ退行たいこう しない。
Q46
L4 横断おうだん
中日ちゅうにち 対照たいしょう
1-7 ☑160 ⚠
P9訳語やくご 不在ふざい
「自己じこ 責任せきにん 」について。①字義じぎ どおりの意味いみ と、評ひょう 論ろん で問題化もんだいか される〈転てん じた〉用法ようほう とを分わ けて述の べよ。②この語ご の批判的ひはんてき 用法ようほう は中国語ちゅうごくご に定訳ていやく がない。自己负责(自分じぶん で責任せきにん を負お う, zìjǐ fùzé)と訳やく した場合ばあい に何なに が失うしな われるかを述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 字義じぎ は〈自分じぶん の選択せんたく の結果けっか は自分じぶん で引ひ き受う ける〉という中立ちゅうりつ の原則げんそく 。しかし評ひょう 論ろん で「自己じこ 責任せきにん 」が現あらわ れるときは多おお く、社会しゃかい が負お うべき責任せきにん を個人こじん へ転嫁てんか する論法ろんぽう の名な として、批判的ひはんてき に用もち いられる——選択せんたく の条件じょうけん (情報じょうほう ・資力しりょく ・代替だいたい 肢し )が整ととの っていない者もの に、結果けっか だけを負お わせる転倒てんとう への批判ひはん である(自己じこ 決定けってい が〈決き める条件じょうけん が整ととの っていること〉を前提ぜんてい とするのと対たい をなす)。自己负责 という訳やく は字義じぎ しか運はこ ばず、この批判的ひはんてき 文脈ぶんみゃく ——語ご そのものが告発こくはつ の対象たいしょう になっているという事情じじょう ——を落お とす。訳語やくご 不在ふざい の語ご は、語ご の意味いみ ではなく語ご をめぐる論争ろんそう ごと理解りかい する必要ひつよう がある。
原理げんり 訳語やくご 不在ふざい (世間せけん ・通底つうてい ・自己じこ 責任せきにん )の第だい 三さん 例れい 。ここまで来く ると〈語ご を訳やく す〉のではなく〈語ご の置お かれた言説げんせつ 空間くうかん を把握はあく する〉段階だんかい に入はい る——学習者がくしゅうしゃ の目的もくてき である「日本語にほんご で思考しこう する」の実質じっしつ である。
Q47
L4 横断おうだん
運用うんよう 判定はんてい
1-7 ☑145・☑146・☑144
P4含意がんい
①「装置そうち 」が「機械きかい 」と分わ かれる点てん を述の べよ。②監視かんし 社会しゃかい のカードは〈誰だれ かが見み ているという想定そうてい だけで人ひと が自分じぶん を律りつ する〉ことを含ふく みに挙あ げる。この事態じたい を、自律じりつ /他律たりつ (1-1 ☑36・☑37)の対たい で分析ぶんせき すると、どちらとも言い い切き れない捩よじ れが現あらわ れる。その捩よじ れを説明せつめい せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 装置そうち は機械きかい の同義語どうぎご ではなく、人ひと を一定いってい の形かたち に作つく り上あ げる仕掛しか けの総称そうしょう ——校こう 則そく と時間じかん 割わり を備そな えた学校がっこう は、機械きかい を含ふく まなくても装置そうち である。監視かんし 社会しゃかい の含意がんい はこの装置そうち の完成形かんせいけい で、実際じっさい に見み られていなくても〈見み られているかもしれない〉という想定そうてい だけで人ひと が振ふ る舞ま いを整ととの える。これを自律じりつ /他律たりつ で切き ると捩よじ れが現あらわ れる:律りつ しているのは形式上けいしきじょう は自分じぶん (自律じりつ の形かたち )だが、その律りつ の基準きじゅん は外そと の視線しせん が植う え付つ けたもの(他律たりつ の内容ないよう )。強制きょうせい が消き えたのではなく、強制きょうせい が内面ないめん へ移設いせつ された——二に 分ぶん 法ほう の限界げんかい そのものが、この主題しゅだい の核心かくしん である。
原理げんり 既習きしゅう の対たい 概念がいねん (自律じりつ /他律たりつ )を新あたら しい対象たいしょう に当あ てると破やぶ れる、その破やぶ れ目め こそが評ひょう 論ろん の論点ろんてん になる——概念がいねん を〈使つか って考かんが える〉L4の実演じつえん 。
Q48
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
1-7 ☑148・☑152・☑153
P4含意がんい
①グローバル化か が「単たん なる国際化こくさいか 」と前提ぜんてい を異い にする点てん を述の べよ。②アカデミズムは「学問がくもん 」の同義語どうぎご ではない。何なに を指さ すか。③ジャーナリズムの定義ていぎ に含ふく まれる、「情報じょうほう を流なが すこと」以上いじょう の役割やくわり は何なに か。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 国際化こくさいか は国境こっきょう と国民こくみん 国家こっか の存続そんぞく を前提ぜんてい に、その間かん の往来おうらい が密みつ になること。グローバル化か は人ひと ・物もの ・資本しほん ・情報じょうほう が国境こっきょう を越こ えて一体いったい 化か し、国境こっきょう という前提ぜんてい そのものが薄うす れる事態じたい ——前提ぜんてい の水準すいじゅん が違ちが う。アカデミズムは学問がくもん 一般いっぱん ではなく、大学だいがく という制度せいど に囲かこ われた学問がくもん の世界せかい と、そこに生しょう じる権威けんい 主義しゅぎ 的てき 傾向けいこう を指さ す——だから「アカデミズム批判ひはん 」は学問がくもん 批判ひはん ではない。ジャーナリズムの定義ていぎ には情報じょうほう 伝達でんたつ に加くわ えて権力けんりょく の監視かんし が織お り込こ まれており、この役割やくわり を落お とすと「単たん なる情報じょうほう 産業さんぎょう 」との区別くべつ が消き える。
原理げんり 三さん 語ご とも〈似に た語ご との前提ぜんてい の差さ 〉が定義ていぎ の本体ほんたい 。前提ぜんてい の水準すいじゅん を特定とくてい する読よ み方かた は、Part 2 の主題しゅだい 読解どっかい へ直結ちょっけつ する。
第だい 五ご 集しゅう
横断おうだん ・産出さんしゅつ ・推敲すいこう
第だい 1部いちぶ × 第だい 2部ぶ ── 全ぜん 12問じゅうにもん ・配点はいてん 48
取得しゅとく 0 / 48
Q49
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
2-1 主題しゅだい /1-3 ☑69
P6方向ほうこう
2-1「自己じこ /他者たしゃ 」の要諦ようてい は、格かく 助詞じょし 一ひと つの差さ に畳たた まれている。
「他者たしゃ の同化どうか 」と「他者たしゃ への同化どうか 」
①二ふた つの句く で、同化どうか の主体しゅたい と客体きゃくたい がどう入い れ替か わるかを述の べよ。②それぞれが自己じこ に何なに をもたらすか(他者たしゃ 性せい の消去しょうきょ /自己じこ の消去しょうきょ )を対たい で述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 「他者たしゃ の同化どうか 」では私わたし が主体しゅたい 、他者たしゃ が客体きゃくたい ——私わたし は他者たしゃ を自分じぶん と同おな じものへ作つく り替か え、他者たしゃ の他者たしゃ 性せい を消け す。「他者たしゃ への同化どうか 」では方向ほうこう が反転はんてん し、私わたし が他者たしゃ という基準きじゅん に合あ わせて自分じぶん を作つく り替か える——消き えるのは自己じこ の固有こゆう 性せい である。二ふた つの句く の差さ はまるごと格かく 助詞じょし 「の/への」が担にな っており、一いち 字じ が主しゅ 客きゃく の配置はいち と、どちらの消滅しょうめつ が起お きるかを決き めている。そしてどちらの極きょく でも、自他じた の差異さい ——自己じこ が自己じこ であるための条件じょうけん ——が失うしな われる点てん で、両者りょうしゃ は同おな じ失敗しっぱい の二ふた つの顔かお である。
原理げんり 方向ほうこう ・格かく 助詞じょし の層そう (P6)は中国語ちゅうごくご 話者わしゃ に最もっと も残のこ りやすい盲もう 点てん の一ひと つ。助詞じょし が論ろん の骨格こっかく そのものを担にな う実例じつれい として、この対句ついく は最良さいりょう の教材きょうざい である。
Q50
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
2-2 主題しゅだい /1-5 ☑106・☑107
構造こうぞう 抽出ちゅうしゅつ
2-2「身体しんたい 論ろん 」の主題しゅだい 文ぶん は、身体しんたい を〈所有しょゆう の媒体ばいたい でありながら、自由じゆう にならないもの〉と規定きてい する。①「身体しんたい を持も つ」と「身体しんたい である」という二ふた つの言い い方かた が、それぞれ身体しんたい をどの座ざ (主体しゅたい /客体きゃくたい )に置お くかを述の べよ。②「自由じゆう にならない」という事実じじつ が、なぜ心身しんしん 二元にげん 論ろん (1-5 ☑91)への反証はんしょう として働はたら くのかを説明せつめい せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 「身体しんたい を持も つ」と言い うとき、身体しんたい は所有しょゆう される客体きゃくたい ——道具どうぐ や物もの の側がわ に置お かれる。「身体しんたい である」と言い うとき、身体しんたい は主体しゅたい そのもの——私わたし はこの身体しんたい としてしか世界せかい に居い ない。身体しんたい はこの二ふた つの座ざ に同時どうじ にまたがる、正反対せいはんたい の規定きてい を併あわ せ持も つ両義りょうぎ 的てき な存在そんざい である。そして「持も っているのに自由じゆう にならない」(病やまい む・老お いる・震ふる える)という日常にちじょう の事実じじつ は、心こころ と身体しんたい を別々べつべつ の実体じったい に切き り分わ ける二元にげん 論ろん の急所きゅうしょ を突つ く——別物べつもの であるなら、なぜ心こころ の不調ふちょう が身体しんたい に現あらわ れ、身体しんたい の状態じょうたい が心こころ を縛しば るのか。二元にげん 論ろん はこの相互そうご 浸透しんとう の説明せつめい を必かなら ず負債ふさい として抱かか える。
原理げんり Part 1 の語彙ごい (主体しゅたい ・客体きゃくたい ・両義りょうぎ ・二元にげん 論ろん )が Part 2 の主題しゅだい 読解どっかい でそのまま分析ぶんせき の道具どうぐ になることを体験たいけん させる問題もんだい 。語彙ごい は使つか われて初はじ めて所有しょゆう される。
Q51
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
2-3 主題しゅだい /1-2 ☑41
構造こうぞう 抽出ちゅうしゅつ
2-3「メディア・芸術げいじゅつ 論ろん 」の主題しゅだい は〈掛か け替か えのなさを、どこで担保たんぽ するか〉。1-2 テクノロジーのカードは、技術ぎじゅつ の線引せんび きを〈複製ふくせい できるかどうか〉に置お いていた。①複製ふくせい 技術ぎじゅつ が芸術げいじゅつ 作品さくひん から奪うば うものを、「一回いっかい 性せい 」「いま・ここ」という観点かんてん で述の べよ。②それでも複製ふくせい 時代じだい の芸術げいじゅつ が「掛か け替か えのなさ」を確保かくほ しうるとすれば、その置お き場所ばしょ はどこへ移うつ るか。考かんが えを一ひと つ示しめ せ(これは開ひら かれた問と いであり、論ろん の筋すじ が通とお っていれば可か とする)。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 複製ふくせい 技術ぎじゅつ は、作品さくひん を〈いま・ここ〉から切き り離はな す。原作げんさく とコピーの差さ が実用じつよう 上じょう 消き えるとき、作品さくひん がその場所ばしょ ・その時とき にしか無な いという一回いっかい 性せい ——礼拝れいはい 的てき な唯一ゆいいつ 性せい ——が価値かち の根拠こんきょ であることをやめる。これはテクノロジーの定義ていぎ (個人こじん の身体しんたい に宿やど る技ぎ と違ちが い、複製ふくせい できる)が芸術げいじゅつ の領分りょうぶん へ及およ んだ事態じたい である。それでも掛か け替か えのなさが残のこ るとすれば、それは物もの としての作品さくひん からは離はな れ、たとえば〈この私わたし がこの作品さくひん と出会であ った経験けいけん 〉の一回いっかい 性せい 、あるいは上演じょうえん ・演奏えんそう という反復はんぷく 不能ふのう な時間じかん へと移うつ る——担保たんぽ の場所ばしょ が、対象たいしょう の側がわ から関係かんけい と経験けいけん の側がわ へ移動いどう する、というのが一ひと つの筋すじ である。
原理げんり 唯一ゆいいつ の正解せいかい を持も たない問と いで、語彙ごい を論ろん の道具どうぐ として走はし らせる練習れんしゅう 。採点さいてん は結論けつろん の一致いっち ではなく、概念がいねん の接続せつぞく が正確せいかく かどうかで行おこな う。
Q52
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
2-4 主題しゅだい /1-6 ☑127・☑128
構造こうぞう 抽出ちゅうしゅつ
2-4「政治せいじ 論ろん 」の主題しゅだい は〈二ふた つの原理げんり が、たえず引ひ き合あ っている〉であり、章しょう の問と いは〈弱じゃく 肉にく 強きょう 食しょく の論理ろんり で、連れん 帯たい できるか〉。①引ひ き合あ う二に 原理げんり を自由じゆう と平等びょうどう として、それぞれを徹底てってい したときに他方たほう に何なに が起お きるかを述の べよ。②この緊張きんちょう を、民みん 主しゅ 主義しゅぎ と資本しほん 主義しゅぎ の組く み合あ わせとして言い い直なお せ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 自由じゆう を徹底てってい すれば、各人かくじん が力ちから を存分ぞんぶん に振ふ るう競争きょうそう の帰結きけつ として格差かくさ が積つ み上あ がり、平等びょうどう が空洞化くうどうか する。平等びょうどう を徹底てってい すれば、結果けっか を均なら すための介入かいにゅう と強制きょうせい が要い り、自由じゆう が削けず られる。二に 原理げんり は片方かたほう を押お せば他方たほう が凹へこ む関係かんけい にあり、しかも近代きんだい 社会しゃかい はその両方りょうほう を制度せいど として抱かか えた——私有しゆう と利潤りじゅん 追求ついきゅう という自由じゆう の原理げんり を資本しほん 主義しゅぎ が、一人ひとり 一いち 票ひょう という平等びょうどう の原理げんり を民みん 主しゅ 主義しゅぎ が担にな う。「弱じゃく 肉にく 強きょう 食しょく の論理ろんり で連れん 帯たい できるか」という章しょう の問と いは、この同居どうきょ ——競争きょうそう の経済けいざい と連れん 帯たい の政治せいじ を一ひと つの社会しゃかい で回まわ すこと——が原理げんり 的てき に安定あんてい しないことの言い い換か えである。
原理げんり 対たい 概念がいねん を〈トレードオフの軸じく 〉として持も つと、政治せいじ 論ろん の大半たいはん は軸じく 上じょう の位置いち 取と りの問題もんだい として整理せいり できる。語彙ごい が地図ちず になる例れい 。
Q53
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
2-5 主題しゅだい /1-1 ☑29/1-6 ☑133/1-7 ☑150
構造こうぞう 抽出ちゅうしゅつ
2-5「経済けいざい 論ろん 」の問と いは〈尺度しゃくど が一ひと つになると、何なに が起お きるか〉。貨幣かへい を〈あらゆる価値かち を測はか る唯一ゆいいつ の尺度しゃくど 〉として、次つぎ の三さん 語ご を動員どういん してこの問と いに答こた えよ:一元いちげん (化か )・フェティシズム・多様性たようせい 。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 尺度しゃくど が貨幣かへい 一ひと つに絞しぼ られるとは、価値かち の一元化いちげんか ——多元的たげんてき だった価値かち の根本こんぽん が、単一たんいつ の原理げんり に還元かんげん されることである。このとき二ふた つのことが起お きる。第一だいいち に、フェティシズム:本来ほんらい は諸しょ 価値かち を測はか るための媒介ばいかい にすぎない貨幣かへい が、それ自体じたい が価値かち の源みなもと であるかのように崇あが められる転倒てんとう 。第だい 二に に、多様性たようせい の圧殺あっさつ :貨幣かへい で測はか れないもの——測はか れないことそのものが固有こゆう 性せい であるようなもの——が「価値かち がない」ことにされ、質しつ の違ちが いが価格かかく という量りょう の差さ へ均なら されていく。一元化いちげんか が転倒てんとう を生う み、転倒てんとう が多様たよう を殺ころ す。経済けいざい 論ろん の骨格こっかく は、この三さん 語ご で一筆いっぴつ 書か きにできる。
原理げんり 別々べつべつ の章しょう で覚おぼ えた三さん 語ご が、一ひと つの問と いの上うえ で因果いんが 連鎖れんさ として組く み上あ がる——語彙ごい のネットワーク化か の完成形かんせいけい 。この問題もんだい が解と ければ、2-5は読よ む前まえ から半分はんぶん 読よ めている。
Q54
L2 弁別べんべつ
産出さんしゅつ
全ぜん 章しょう 横断おうだん
P2格かく
口語こうご から評ひょう 論語ろんご へ。次つぎ の各表かくひょう 現げん を、評ひょう 論文ろんぶん の格かく に合あ う語ご へ置お き換か えよ。
① 絶対ぜったい にうまくいく方法ほうほう ② いろいろな解釈かいしゃく ができる ③ だから、この説せつ は正ただ しい ④ みんなが〜と思おも っている ⑤ 〜だと思おも う(論ろん の結むす び)
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう ①必かなら ずうまくいく方法ほうほう (または「確実かくじつ な方法ほうほう 」)。②多様たよう な解釈かいしゃく が成な り立た つ/この文ぶん は多義たぎ 的てき である。③したがって、この説せつ は正ただ しい。④〜と広ひろ く信しん じられている。前提ぜんてい が問と われていない含ふく みまで乗の せるなら「〜が自明じめい 視し されている」。⑤〜と考かんが えられる。
注意ちゅうい :「絶対ぜったい 」という語ご 自体じたい は相対そうたい の対たい 概念がいねん として評ひょう 論ろん の中枢ちゅうすう にある。追放ついほう されるのは副詞ふくし 用法ようほう の強調きょうちょう 「絶対ぜったい に」だけ——語ご の格かく は品詞ひんし ・用法ようほう ごとに判定はんてい する。
原理げんり レジスターの変換へんかん は一括いっかつ 置換ちかん ではなく、用法ようほう 単位たんい の判定はんてい である。「絶対ぜったい 」が名詞めいし では雅が で副詞ふくし では俗ぞく 、という非対称ひたいしょう にその本質ほんしつ が凝縮ぎょうしゅく されている。
Q55
L2 弁別べんべつ
産出さんしゅつ
全ぜん 章しょう 横断おうだん
産出さんしゅつ 方向ほうこう
意味いみ から語ご へ。全ぜん 章しょう から。
① ある時代じだい の科学者かがくしゃ たちが共有きょうゆう する、ものの見方みかた の枠組わくぐ み
② 対立たいりつ を捨す てず、両者りょうしゃ を汲く み上あ げてより高たか い段階だんかい へ進すす むこと
③ 社会的しゃかいてき ・文化ぶんか 的てき につくられた性せい 差さ
④ 経験けいけん に依存いぞん せず、それに先立さきだ って成な り立た つこと
⑤ 連続れんぞく した世界せかい に言語げんご が切き れ目め を入い れ、区別くべつ を成な り立た たせること
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう ①パラダイム——個人こじん の見解けんかい ではなく、共有きょうゆう されていることが要件ようけん 。②弁べん 証しょう 法ほう (その統合とうごう の操作そうさ を止揚しよう と言い う)。③ジェンダー——セックスと切き るための語ご 。④ア・プリオリ——生得せいとく ではなく論理的ろんりてき 非ひ 依存いぞん 。⑤分節ぶんせつ ——切き れ目め は対象たいしょう の側がわ に無な い。
各かく 答こた えに要件ようけん を一ひと つ添そ えるのは、想起そうき の手て がかりを定義ていぎ の核かく に置お き直なお すためである。
原理げんり 産出さんしゅつ 方向ほうこう の総そう ざらい。定義ていぎ →語ご の想起そうき が五ご 連続れんぞく で通とお れば、受容じゅよう 語彙ごい から産出さんしゅつ 語彙ごい への移行いこう はこの範囲はんい で完了かんりょう に近ちか い。
Q56
L3 運用うんよう
中日ちゅうにち 対照たいしょう
⚠語ご 総覧そうらん
P9 L1干渉かんしょう
日中にっちゅう 対照たいしょう の総括そうかつ 表ひょう を、自力じりき で完成かんせい させよ。四よん 語ご それぞれについて〈日本語にほんご の意味いみ /中国語ちゅうごくご の同どう 形けい 語ご の意味いみ /ずれの型かた 〉を埋う めること。
対象たいしょう 語ご :敷衍ふえん ・対象たいしょう ・普遍ふへん ・世間せけん
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 敷衍ふえん ——日ひ :詳くわ しく押お し広ひろ げる/中なか :手て を抜ぬ いて流なが す。評価ひょうか が反転はんてん する型かた 。
対象たいしょう ——日ひ :認識にんしき ・行為こうい の向む かう先さき /中なか :それに加くわ えて〈相手あいて ・恋人こいびと 〉の日常にちじょう 用法ようほう 。用法ようほう が片側かたがわ にだけ在あ る型かた 。
普遍ふへん ——日ひ :例外れいがい ゼロ/中なか :高頻度こうひんど (よくある)。同おな じ字じ が別べつ の水準すいじゅん (含意がんい /頻度ひんど )を測はか っている型かた 。
世間せけん ——日ひ :顔かお の見み える範囲はんい という固有こゆう の含ふく み/中なか :この世よ 一般いっぱん 。固有こゆう の含ふく みが対応たいおう を持も たない型かた (訳語やくご 不在ふざい )。
四よっ つの「型かた 」——反転はんてん ・追加ついか ・水準すいじゅん 差さ ・不在ふざい ——が、同どう 形けい 語ご の危険きけん の全ぜん 類型るいけい である。
原理げんり 個々ここ のずれの暗記あんき から、ずれの類型るいけい 学がく へ。型かた を四よっ つ持も てば、初見しょけん の同どう 形けい 語ご に出会であ ったとき〈どの型かた の危険きけん か〉を最初さいしょ に問と えるようになる。
Q57
L3 運用うんよう
推敲すいこう
1-6 ☑120
P2格かく
次つぎ の説明せつめい 文ぶん を、評ひょう 論ろん の一文いちぶん に推敲すいこう せよ。定義ていぎ の精度せいど を落お とさないこと。
「近代きんだい になって、宗教しゅうきょう の力ちから がだんだん弱よわ くなって、社会しゃかい がお金かね とか効率こうりつ とかで動うご くようになったことを世俗化せぞくか と言い う。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 成せい 案あん 例れい :「世俗化せぞくか とは、宗教しゅうきょう の影響力えいきょうりょく が後退こうたい し、社会しゃかい が現世げんせ 的てき な価値かち によって動うご くようになることを言い う——信仰しんこう そのものの消滅しょうめつ を意味いみ するのではない。」
処理しょり :「お金かね とか効率こうりつ とか」は現世げんせ 的てき な価値かち という上位じょうい 語ご に畳たた む(例示れいじ の列挙れっきょ は定義ていぎ には不純物ふじゅんぶつ )。「だんだん」は「次第しだい に」でも通とお るが、定義ていぎ 文ぶん では過程かてい の副詞ふくし ごと削けず って構造こうぞう だけを残のこ すほうが締し まる。但ただ し書が き(≠信仰しんこう の消滅しょうめつ )は世俗化せぞくか の定義ていぎ の一部いちぶ なので、削けず ってはならない。
原理げんり 推敲すいこう の要点ようてん は、例示れいじ を上位じょうい 語ご へ畳たた むことと、定義ていぎ の但ただ し書が きを装飾そうしょく と見み 誤あやま って削けず らないこと。精度せいど を保たも ったままの圧縮あっしゅく だけが推敲すいこう と呼よ ばれる。
Q58
L5 メタ
メタ
1-7 ☑150/1-4 ☑76
自己じこ 言及げんきゅう
「多様性たようせい を尊重そんちょう すべきだ」という主張しゅちょう について。①この主張しゅちょう が Q27 の文化ぶんか 相対そうたい 主義しゅぎ と同おな じ自己じこ 言及げんきゅう の難点なんてん を抱かか えることを示しめ せ。②多様性たようせい の定義ていぎ (数かず の多おお さではなく、違ちが いが保たも たれていること)を使つか うと、この難点なんてん に対たい してどのような応答おうとう の道みち が開あ けるか、考かんが えを述の べよ(開ひら かれた問と い)。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 「多様たよう であれ」という要請ようせい は、それ自体じたい が一ひと つの価値かち の主張しゅちょう であり、全員ぜんいん に妥当だとう を求もと める点てん で一元的いちげんてき に振ふ る舞ま う——文化ぶんか 相対そうたい 主義しゅぎ が〈基準きじゅん はない〉を基準きじゅん にしてしまうのと同おな じ自己じこ 言及げんきゅう の型かた である。難点なんてん はジレンマの形かたち で尖とが る:多様性たようせい を否定ひてい する立場たちば を容い れれば多様性たようせい が自壊じかい し、排除はいじょ すれば一元性いちげんせい を自白じはく する。応答おうとう の一ひと つの筋すじ は、水準すいじゅん の分離ぶんり である——多様性たようせい の定義ていぎ が〈違ちが いが保たも たれていること〉という状態じょうたい ・条件じょうけん を指さ すことを使つか い、多様性たようせい を諸しょ 価値かち と同列どうれつ の〈内容ないよう 〉ではなく、諸しょ 価値かち が並なら び立た つための〈形式けいしき ・条件じょうけん 〉の水準すいじゅん に置お く。形式けいしき は内容ないよう と競合きょうごう しないから、自己じこ 言及げんきゅう は少すく なくとも同おな じ平面へいめん では起お きない。この応答おうとう が最終的さいしゅうてき に成功せいこう するかは、なお開ひら かれている。
原理げんり Q27で抽象ちゅうしょう 化か した型かた を新あたら しい対象たいしょう に適用てきよう し、さらに定義ていぎ を使つか って型かた を破やぶ る試こころ みまで行おこな う——適用てきよう と創案そうあん の往復おうふく がL5の中身なかみ である。
Q59
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
1-7 ☑151/1-3 ☑63・☑67
構造こうぞう 抽出ちゅうしゅつ
構造こうぞう 主義しゅぎ の定義ていぎ は〈個々ここ の要素ようそ ではなく、要素ようそ の関係かんけい の型かた によって現象げんしょう を説明せつめい する立場たちば 〉である。1-3の コード・分節ぶんせつ が、この立場たちば の言語げんご 版はん の道具立どうぐだ てになっていることを示しめ せ。すなわち:①「関係かんけい の型かた 」に当あ たるものは言語げんご では何なに か。②「個々ここ の要素ようそ から説明せつめい しない」とは、言語げんご の場合ばあい 、何なに を退しりぞ けることか。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 3 点てん )
解答かいとう 構造こうぞう 主義しゅぎ の「関係かんけい の型かた 」は、言語げんご ではコード——記号きごう と意味いみ を結むす ぶ共有きょうゆう の体系たいけい ——であり、より深ふか くは分節ぶんせつ の切き り方かた の網あみ である。個々ここ の語ご は、対象たいしょう と自然しぜん に結むす びついてそれ自体じたい で意味いみ を持も つのではない(この見方みかた こそが退しりぞ けられる)。語ご の意味いみ は、他ほか の語ご との差異さい ——「青あお 」は「緑みどり 」でも「藍あい 」でもないこと——によって、網あみ の中なか の位置いち として決き まる。差異さい の定義ていぎ が〈比較ひかく の相手あいて を前提ぜんてい とし、単独たんどく では成な り立た たない〉であったことが、ここで効き いてくる。構造こうぞう 主義しゅぎ とは、この〈位置いち が意味いみ を作つく る〉という言語げんご の事実じじつ を、親族しんぞく ・神話しんわ ・社会しゃかい へ一般化いっぱんか した立場たちば である。
原理げんり 深層しんそう の構造こうぞう を見み るという標語ひょうご を、既習きしゅう の三さん 語ご (コード・分節ぶんせつ ・差異さい )で実装じっそう してみせる問題もんだい 。標語ひょうご が道具どうぐ に変か わる瞬間しゅんかん である。
Q60
L5 メタ
メタ
全体ぜんたい
総括そうかつ
総括そうかつ 。本ほん テストが繰く り返かえ し扱あつか ってきた〈文法ぶんぽう 的てき に正ただ しいのに不適切ふてきせつ 〉という誤あやま りは、少すく なくとも四よっ つの層そう で起お きる:共起きょうき ・格かく (レジスター)・評価ひょうか 極きょく 性せい ・含意がんい 。①各かく 層そう を一文いちぶん で定義ていぎ せよ。②本ほん テストで扱あつか った実例じつれい を各かく 層そう に一ひと つずつ配はい せよ。③この四よん 層そう が辞書じしょ では学まな べない理由りゆう を一般化いっぱんか して述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう 共起きょうき :語ご がどの語ご と結むす びつけるかという慣習かんしゅう 的てき 制約せいやく ——「この分野ぶんや の権威けんい 」は言い えるが「この分野ぶんや の権力けんりょく 」は言い えない。格かく :語ご の硬軟こうなん が文体ぶんたい と一致いっち すべきこと——評ひょう 論ろん の「絶対ぜったい に」は「必かなら ず」へ。評価ひょうか 極きょく 性せい :語ご に張ば り付つ いた賛否さんぴ の向む き——同おな じ現象げんしょう でも「自己じこ 目的もくてき 化か 」は中立ちゅうりつ 、「倒錯とうさく 」は断罪だんざい 。含意がんい :定義ていぎ の外そと で語ご が背負せお う前提ぜんてい ——「普遍ふへん 」は例外れいがい ゼロを、「潜在せんざい 」は存在そんざい を、言い わずに背負せお う。
四よん 層そう に共通きょうつう するのは、制約せいやく の在処ありか が語ご の内部ないぶ ではなく関係かんけい ——隣となり の語ご と、文体ぶんたい と、話者わしゃ の立場たちば と、暗黙あんもく の前提ぜんてい との関係かんけい ——にあることである。辞書じしょ は語ご を一いち 項こう ずつ切き り離はな して記しる す形式けいしき であるから、関係かんけい に宿やど るものを原理げんり 的てき に載の せられない。この四よん 層そう を持も つことが、定義ていぎ を知し っていることと使つか えることの距離きょり の、正確せいかく な名前なまえ である。
原理げんり 測定そくてい 対象たいしょう そのものをメタ認知にんち させて閉と じる。この四よん 層そう の名な を自分じぶん の言葉ことば で言い えるなら、以後いご の学習がくしゅう は自走じそう する——本ほん テストの最終さいしゅう 目的もくてき はこの自走じそう の開始かいし である。
第だい 六ろく 集しゅう
小説しょうせつ 語彙ごい
第だい 3部ぶ 3-1〜3-4(☑161–210) ── 全ぜん 15問とい ・配点はいてん 66
取得しゅとく 0 / 66
Q61
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
3-1 ☑162・☑167・☑175・☑187
P2類るい 義ぎ / P4含意がんい
「疑うたが い」の系列けいれつ 四よん 語ご ――いぶかしい/うさんくさい/腑ふ に落お ちない/怪訝けげん ――を、次つぎ の二に 軸じく で仕分しわ けよ。軸じく ①:疑うたが いの根拠こんきょ はあるか(理解りかい の手続てつづ きを踏ふ んだ上うえ での疑うたが いか、直感ちょっかん か)。軸じく ②:疑うたが いはどこに現あらわ れる か(内面ないめん の状態じょうたい か、表情ひょうじょう か)。 そのうえで、「×領りょう 収しゅう 書しょ の偽造ぎぞう が確認かくにん されたのでうさんくさい 」がなぜ誤あやま りかを説明せつめい せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう 軸じく ①(根拠こんきょ ):腑ふ に落お ちない は〈説明せつめい を理解りかい したうえで、なお納得なっとく できない〉であり、疑うたが いの中なか で最もっと も手続てつづ き的てき 。対極たいきょく がうさんくさい で、〈なんとなく怪あや しい〉という根拠こんきょ のない直感ちょっかん である。いぶかしい はその中間ちゅうかん で、実じつ 情じょう がはっきりせず気き になる状態じょうたい を広ひろ く覆おお い、相手あいて への疑うたが いにも単たん なる不明ふめい にも使つか える。軸じく ②(現あらわ れ):怪訝けげん だけが〈表情ひょうじょう に現あらわ れた不審ふしん 〉を指さ すことが多おお く、「怪訝けげん な顔かお ・表情ひょうじょう 」と結むす ぶ。他ほか の三さん 語ご は内面ないめん の状態じょうたい が中心ちゅうしん 。 ×例れい :偽造ぎぞう が「確認かくにん された」なら疑うたが いは確信かくしん に変か わっている。直感ちょっかん の語ご うさんくさいは使つか えず、「不正ふせい が明あき らかになった」等とう の確定かくてい の言い い方かた に替か える。
原理げんり 類るい 義ぎ 語ご は「意味いみ の近ちか さ」ではなく〈疑うたが いの根拠こんきょ の有無うむ 〉〈内面ないめん か表情ひょうじょう か〉という軸じく の位置いち で区別くべつ する。軸じく を持も てば、四よん 語ご が四よっ つの暗記あんき 項目こうもく ではなく一いち 枚まい の地図ちず になる。
Q62
L3 運用うんよう
誤ご 用よう 診断しんだん
3-1 ☑178・☑202・☑196
P4含意がんい / P7語ご 義ぎ 誤解ごかい
次つぎ の文ぶん には、現代げんだい 日本語にほんご で誤ご 用よう 率りつ がきわめて高たか い語ご の誤あやま りが三みっ つある。すべて指摘してき ・訂正ていせい し、なぜその誤解ごかい が生う まれるのかまで述の べよ。「彼かれ は気き が置お けない人物じんぶつ だから契約書けいやくしょ は隅々すみずみ まで確認かくにん すべきだし、匿名とくめい で批判ひはん するような姑息こそく な人間にんげん だ。仕事しごと もなおざりな謝罪しゃざい メール一本いっぽん で済す ませようとする。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 誤あやま り①:気き が置お けない は〈遠慮えんりょ する必要ひつよう がなく心こころ から打う ち解と けられる〉。文ぶん 意い は「油断ゆだん ならない」だから真逆まぎゃく 。「気き を許ゆる せない人物じんぶつ だから」等とう に。誤解ごかい の源みなもと は「置お けない」という否定ひてい 形けい が警戒けいかい の意味いみ に見み えること――実際じっさい は「気き (=遠慮えんりょ )を置お く必要ひつよう がない」。誤あやま り②:姑息こそく は〈その場ば しのぎ〉であって「卑怯ひきょう 」ではない。匿名とくめい の批判ひはん を責せ めるなら「卑劣ひれつ な」「卑怯ひきょう な」。「姑息こそく な手段しゅだん 」が結果的けっかてき に卑怯ひきょう な手段しゅだん と重かさ なる場面ばめん が多おお いため、意味いみ が隣となり へ滑すべ った。誤あやま り③:謝罪しゃざい メールを一応いちおう は出だ しているのだから、〈ほとんど手て をつけない〉なおざり ではなく、〈形かたち だけは整ととの えるが心こころ がない〉おざなり 。放置ほうち か、形かたち だけか――行為こうい の有無うむ で二に 語ご は分わ かれる。
原理げんり 高頻度こうひんど 誤ご 用よう には必かなら ず発生はっせい 機構きこう がある(否定ひてい 形けい の見み かけ・字面じづら 連想れんそう ・音おと の近似きんじ )。機構きこう ごと理解りかい すれば「正ただ しい意味いみ の暗記あんき 」ではなく「誤あやま りの再生さいせい 成せい の防止ぼうし 」になり、初見しょけん の語ご にも転移てんい する。
日中にっちゅう 姑息こそく は中国語ちゅうごくご 姑息こそく (甘あま やかして見逃みのが す, gūxī)=「姑息养奸(悪あく を甘あま やかし育そだ てる, gūxī yǎng jiān)」。中国語ちゅうごくご は〈寛容かんよう にしすぎる〉、日本語にほんご は〈その場ば しのぎ〉、俗ぞく 用よう は〈卑怯ひきょう 〉――三みっ つの言語げんご 層そう で意味いみ が三様さんよう にずれている。
Q63
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
3-1 ☑161・☑184・☑174・☑200
P5視点してん / P3極きょく 性せい
「×私わたし はしおらしい 性格せいかく です」「×創業そうぎょう 社しゃ 長ちょう が健気けなげ に働はたら いて会社かいしゃ を大おお きくした」「×受賞じゅしょう の挨拶あいさつ で恩おん 師し は彼かれ を才さい 走はし った若者わかもの だと讃たた えた」――三みっ つの×例れい に共通きょうつう する原理げんり を一ひと つ抽出ちゅうしゅつ せよ。そのうえで、鷹揚おうよう がこの制約せいやく を受う けるかどうかを判定はんてい せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう 共通きょうつう 原理げんり :三さん 語ご とも記き 述語じゅつご ではなく評価ひょうか 語ご であり、語ご の中なか に〈誰だれ がどの位置いち から見み ているか〉という視線しせん が焼や き付つ いている。しおらしい=見み る側がわ の好意こうい (だから自称じしょう 不可ふか )。健気けなげ =強つよ い者もの が弱よわ い者もの を見み る視線しせん (だから強きょう 者しゃ に不可ふか )。才さい 走はし る=「出で すぎだ」という減点げんてん の視線しせん (だから賛辞さんじ に不可ふか )。鷹揚おうよう の判定はんてい :極きょく 性せい は肯定こうてい だが、視点してん 制約せいやく はある 。この語ご は〈大おお きい者もの のゆったり〉を言い うため、上位じょうい 者しゃ のふるまいには使つか えるが、「×部下ぶか は上司じょうし の叱責しっせき を鷹揚おうよう に受う け止と めた」のように下位かい 者しゃ の受う け身み には使つか えない。極きょく 性せい (±)と視点してん (誰だれ から誰だれ へ)は独立どくりつ の二に 層そう であり、両方りょうほう を確認かくにん して初はじ めて使つか える。
原理げんり 小説しょうせつ 語彙ごい の誤ご 用よう の大半たいはん は意味いみ ではなく〈視点してん 〉で起お きる。「この語ご は誰だれ が・誰だれ に対たい して言い えるか」という問と いを、意味いみ の確認かくにん と同どう 格かく の手続てつづ きにせよ。評価ひょうか 語ご か記き 述語じゅつご かの見分みわ けが常つね に第一だいいち 歩ほ になる。
Q64
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
3-1 ☑180・☑208・☑172
P7多義たぎ / P9呼応こおう
はばかる/果は たして/間あいだ が悪わる い は、いずれも一語いちご の中なか に二ふた つの意味いみ を持も つ。それぞれ二に 義ぎ を挙あ げ、文中ぶんちゅう でどちらの意味いみ かを何なに で見分みわ けるか (判定はんてい の手て がかり)を specify せよ。例れい :「憎にく まれっ子こ 世よ にはばかる 」はどちらの義ぎ か。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう はばかる :①〈気き がねして控ひか える〉②〈幅はば をきかせる〉。判定はんてい は構文こうぶん ――①は「人ひと 目め をはばかる」「先輩せんぱい をはばかって発言はつげん を控ひか える」のように遠慮えんりょ の対象たいしょう を格かく に取と る。②は「憎にく まれっ子こ 世よ にはばかる」の形かたち で、諺ことわざ のはばかるは②。控ひか えると蔓延はびこ る、正反対せいはんたい の二に 義ぎ が一語いちご に同居どうきょ する。果は たして :①〈思おも ったとおりに〉は「果は たして彼かれ は来き た」のように結果けっか の断定だんてい 文ぶん と呼応こおう 。②〈本当ほんとう に〜か〉は「果は たして間ま に合あ うだろうか」のように疑問ぎもん ・推すい 量りょう の文末ぶんまつ と呼応こおう 。「×果は たして彼かれ は来き なかった」が誤あやま りなのは、①は予想よそう の的中てきちゅう を言い う副詞ふくし であり、来こ ないことを予想よそう していた文脈ぶんみゃく が示しめ されない限かぎ り立た たないから。文末ぶんまつ との呼応こおう が意味いみ を決き める。間あいだ が悪わる い :①〈きまりが悪わる い〉(褒ほ められて間あいだ が悪わる い思おも いをした)②〈折おり が悪わる い〉(訪たず ねたが間あいだ が悪わる く不在ふざい だった)。恥はじ の心理しんり か、タイミングの不運ふうん か、場面ばめん で読よ み分わ ける。
原理げんり 多義たぎ 語ご は「二ふた つの意味いみ を覚おぼ える」のではなく「判定はんてい の手て がかり(構文こうぶん ・文末ぶんまつ ・場面ばめん )を覚おぼ える」。手て がかりは語ご ごとに固有こゆう だが、〈呼応こおう で決き まる〉という原理げんり は副詞ふくし 全般ぜんぱん (あながち・よもや・つゆ)へ外挿がいそう できる。
Q65
L3 運用うんよう
弁別べんべつ 群ぐん
3-1 ☑200・☑206・☑188・☑195
P3極きょく 性せい
鷹揚おうよう /横柄おうへい /居丈高いたけだか /無造作むぞうさ はいずれも「こまかく構こう わない・上うえ からの態度たいど 」の近傍きんぼう にあるが、極きょく 性せい が異こと なる。四よん 語ご を〈肯定こうてい /否定ひてい /両りょう 用よう 〉に仕分しわ け、両りょう 用よう の語ご については極きょく 性せい が反転はんてん する条件じょうけん を specify せよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 肯定こうてい :鷹揚おうよう ――細事さいじ にこだわらない度ど 量りょう を良よ いものとして言い う。否定ひてい :横柄おうへい ・居丈高いたけだか ――横柄おうへい は見み 下くだ した無礼ぶれい な態度たいど の全般ぜんぱん 、居丈高いたけだか はさらに強つよ く、頭あたま ごなしに力ちから で押お さえつける威い 圧あつ を指さ す(「×居丈高いたけだか な人格じんかく 者しゃ 」が立た たないのはこのため)。両りょう 用よう :無造作むぞうさ ――〈手間てま をかけない〉こと自体じたい は中立ちゅうりつ で、慎重しんちょう さが要求ようきゅう される対象たいしょう (手術しゅじゅつ ・精密せいみつ 作業さぎょう )に向む けば否定ひてい 、熟じゅく 達たつ の余裕よゆう として現あらわ れれば肯定こうてい (無造作むぞうさ に描えが いた一筆いっぴつ )。整理せいり すると、同おな じ「構こう わなさ」が、器うつわ の大おお きさと読よ まれれば鷹揚おうよう 、無礼ぶれい と読よ まれれば横柄おうへい 、威い 圧あつ と読よ まれれば居丈高いたけだか 、手て つきと読よ まれれば無造作むぞうさ ――極きょく 性せい は語ご にではなく、行為こうい と場面ばめん の組くみ に宿やど る 。
原理げんり 極きょく 性せい 判定はんてい の順序じゅんじょ :①語ご 自体じたい の固定こてい 極きょく 性せい を確認かくにん (鷹揚おうよう +/横柄おうへい −)→②両りょう 用語ようご なら文脈ぶんみゃく 条件じょうけん を確認かくにん 。この二に 段だん の手続てつづ きを踏ふ めば「なんとなく良よ さそう/悪あく そう」という感覚かんかく 依存いぞん から抜ぬ けられる。
Q66
L3 運用うんよう
誤ご 用よう 診断しんだん
3-1 ☑181・☑173・☑179
P7語ご 義ぎ 誤解ごかい / P10形かたち の混同こんどう
次つぎ の文ぶん の誤あやま りをすべて指摘してき ・訂正ていせい せよ(三さん 箇所かしょ )。「時代じだい の風潮ふうちょう に棹さお さして ただ一人ひとり 異い を唱とな えた彼かれ の勇気ゆうき は、高こう をくくる ほど見事みごと だった。停滞ていたい していた議論ぎろん に水みず を差さ した その一言ひとこと で、場ば は一気いっき に動うご き出だ した。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 誤あやま り①:棹さお さす は舟ふね の棹さお で川底かわぞこ を突つ いて流なが れに乗の り勢いきおい いを増ま す こと。「流なが れに逆さか らう」と正反対せいはんたい に誤解ごかい されやすい。ただ一人ひとり 異い を唱とな えるなら「風潮ふうちょう に抗こう して」。誤あやま り②:高こう をくくる は〈たいしたことないと見み くびる〉という行為こうい であり、賞賛しょうさん の強調きょうちょう には使つか えない。程度ていど の低ひく さが判明はんめい する意味いみ なら高こう が知し れる だが、これも〈見事みごと 〉と極きょく 性せい が衝突しょうとつ する。「言葉ことば を失うしな うほど」等とう 、評価ひょうか の向む きが合あ う表現ひょうげん に差さ し替か える。誤あやま り③:水みず を差さ す は〈うまくいっているもの〉にしか使つか えない。停滞ていたい した議論ぎろん を動うご かした一言ひとこと は「一石いっせき を投とう じた」。前提条件ぜんていじょうけん (順調じゅんちょう である)を欠か くと慣用かんよう 句く は成立せいりつ しない。
原理げんり 慣用かんよう 句く の意味いみ は構成こうせい 字じ の和わ ではない(棹さお =乗の る道具どうぐ 、水みず =冷却れいきゃく )。字面じづら からの再さい 解釈かいしゃく こそが誤ご 用よう の生成せいせい 源みなもと であり、〈成せい 句く は語源ごげん の場面ばめん ごと覚おぼ える〉が唯一ゆいいつ の防御ぼうぎょ になる。
日中にっちゅう 棹さお さす=中国語ちゅうごくご では 顺水推舟(流なが れに乗の って舟ふね を押お す, shùnshuǐ tuīzhōu)が正確せいかく に対応たいおう する。中国語ちゅうごくご 話者わしゃ はむしろこの成せい 語ご 経由けいゆ で正ただ しい意味いみ に到達とうたつ でき、日本語にほんご 母語ぼご 話者わしゃ より誤あやま りにくい――母語ぼご が防波堤ぼうはてい になる希少きしょう 例れい 。
Q67
L4 横断おうだん
中日ちゅうにち 対照たいしょう
3-1 ☑205・☑192・☑197・☑185 × 1-1 ☑(敷衍ふえん )
P1同どう 形けい 語ご / P3極きょく 性せい
次つぎ の四よん 組くみ について、日中にっちゅう のずれを Q56 で総括そうかつ した四よん 類型るいけい (反転はんてん /追加ついか /水準すいじゅん 差さ /不在ふざい )のどれに当あ たるか判定はんてい し、根拠こんきょ を述の べよ。 ① 生返事なまへんじ ⇄ 敷衍ふえん 的てき 回答かいとう (第だい 1部いちぶ 「敷衍ふえん 」との関係かんけい も含ふく めて) ② 髣ほう 髴ふつ ⇄ 仿佛 ③ 艱難かんなん ⇄ 艰难 ④ 刹せつ 那な ⇄ 刹せつ 那な
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう ①反転はんてん (の分業ぶんぎょう ) :第だい 1部いちぶ で見み たとおり、中国語ちゅうごくご の 敷衍ふえん (いいかげんにあしらう, fūyǎn)は日本語にほんご 「敷衍ふえん 」(意味いみ を押お し広ひろ げ詳述しょうじゅつ する)と含意がんい が反転はんてん している。今回こんかい の 生返事なまへんじ の中国語ちゅうごくご 訳やく が 敷衍ふえん 的てき 回答かいとう (生返事なまへんじ , fūyǎn de huídá)であることは、その反転はんてん の裏面りめん ――中国語ちゅうごくご の敷衍ふえん が担にな う〈おざなり〉の意味いみ 領域りょういき を、日本語にほんご では別べつ の語ご (生返事なまへんじ ・おざなり)が引ひ き受う けている――を示しめ す。一語いちご の反転はんてん は、語彙ごい 体系たいけい 全体ぜんたい では分業ぶんぎょう として現あらわ れる。 ②水準すいじゅん 差さ +機能きのう の追加ついか :仿佛は「仿佛回到了童年」のように〈まるで〜のようだ〉という比況ひきょう 副詞ふくし として日常的にちじょうてき に働はたら く。日本語にほんご の髣ほう 髴ふつ は〈よく似に ていて、ありありと思おも い起お こさせる〉という他動的たどうてき な働はたら き(〜を髣ほう 髴ふつ とさせる)に限定げんてい され、文語ぶんご 的てき 。「×兄あに と弟おとうと の顔かお は髣ほう 髴ふつ としている」が誤あやま りなのは、単たん なる類似るいじ には使つか えないから。 ③水準すいじゅん 差さ :字じ も意味いみ も同おな じだが、艰难 は現代げんだい 中国語ちゅうごくご の常用じょうよう 語ご 、日本語にほんご の 艱難かんなん は「艱難かんなん 辛苦しんく 」など文語ぶんご 的てき 成せい 句く にほぼ限定げんてい される。意味いみ の一致いっち が使用しよう 域いき の一致いっち を意味いみ しない典型てんけい 。 ④ずれ最小さいしょう :刹せつ 那な (chànà)は双方そうほう サンスクリット語ご kṣaṇa の音写おんしゃ を保存ほぞん し、仏教ぶっきょう 語ご としての重おも み・文体ぶんたい 的てき 高たか さも並行へいこう する。対照たいしょう は「ずれ探さが し」ではなく、ずれの有無うむ と型かた の判定はんてい である。
原理げんり 同どう 形けい 語ご のずれは一語いちご ずつの現象げんしょう ではなく体系たいけい の現象げんしょう である。A語ご で反転はんてん が起お きれば、失うしな われた意味いみ は必かなら ず別べつ の語ご が拾ひろ う(分業ぶんぎょう )。ずれを型かた で持も てば、未知みち の同どう 形けい 語ご に出会であ ったとき「どの型かた か」という問と いから入い れる。
Q68
L2 弁別べんべつ
産出さんしゅつ
3-1 ☑170・☑177・☑201・☑210・☑209
P2類るい 義ぎ
定義ていぎ から語ご を産出さんしゅつ せよ(五ご 連発れんぱつ )。 ① 思おも いを晴はれ らす方法ほうほう がなく切きり ない。悲かな しみに〈どうにもできない行い き詰づ まり〉が加くわ わる。 ② 避さ けることも退しりぞ くこともできない。深刻しんこく 度ど が高たか い。 ③ 細こま かいところまで明あき らかである。ほぼ「〜にする/〜でない」の形かたち で使つか う。 ④ かろうじて、ぎりぎりのところでやっと達成たっせい する。 ⑤ 必かなら ずしも。下した に打う ち消け しを伴ともな い、一いち 概がい には言い えないことを表あらわ す。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう ①やるせない ②のっぴきならない ③つまびらか ④からくも ⑤あながち 。産出さんしゅつ 時じ の点検てんけん :④からくもは〈ぎりぎり〉が本体ほんたい だから、大差たいさ の勝利しょうり には使つか えない(×十じゅう 点てん 差さ でからくも勝利しょうり )。⑤あながちは単独たんどく では立た てず、「あながち間違まちが いではない」のように打う ち消け しと組く んで初はじ めて文ぶん になる――語ご ではなく〈語ご +呼応こおう 〉のセットで貯蔵ちょぞう せよ。
原理げんり 受容じゅよう (読よ んで分わ かる)と産出さんしゅつ (定義ていぎ から取と り出だ す)は別べつ の索引さくいん である。産出さんしゅつ の索引さくいん は「定義ていぎ →語ご 」だけでなく「定義ていぎ →語ご +固定こてい 形けい ・呼応こおう ・共起きょうき 条件じょうけん 」まで一体いったい で引ひ けて初はじ めて実用じつよう になる。
Q69
L3 運用うんよう
横断おうだん 構造こうぞう
3-1 ☑190・☑178・☑175・☑176・☑171
P10形かたち の固定こてい
屈託くったく /気き が置お けない/腑ふ に落お ちない/身み も蓋ふた もない/おぼつかない には、形かたち の上うえ での共通点きょうつうてん がある。それを指摘してき し、各かく 語ご でその形かたち がどこまで固定こてい しているか(肯定こうてい 形けい が生い きているか)を判定はんてい せよ。「×休暇きゅうか 中ちゅう は仕事しごと を忘わす れて屈託くったく した 」はなぜ誤あやま りか。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 共通点きょうつうてん :五ご 語ご すべて否定ひてい 形けい が基本きほん 形けい 。ただし固定こてい 度ど に階層かいそう がある。完全かんぜん 固定こてい (「ない」が一語いちご 化か ):気き が置お けない/身み も蓋ふた もない/おぼつかない ――肯定こうてい に戻もど せない。おぼつかないの「ない」はもはや否定ひてい と意識いしき されず、「×おぼつかず」より「おぼつかなく」が自然しぜん なことがその証拠しょうこ 。 ほぼ固定こてい :屈託くったく ――〈気き にかかって心こころ が晴は れない〉という意味いみ 自体じたい は肯定こうてい だが、現代語げんだいご ではほぼ「屈託くったく のない笑顔えがお 」の形かたち でしか生い きていない。「×屈託くったく した」が誤あやま りなのは、辞書じしょ には残のこ る動詞どうし 用法ようほう が実際じっさい の使用しよう から消き えているため。否定ひてい 優勢ゆうせい ・肯定こうてい 可か :腑ふ に落お ちない ――「腑ふ に落お ちる」も使つか える。 つまり判定基準はんていきじゅん は〈辞書じしょ に載の っているか〉ではなく〈現代げんだい の使用しよう で肯定こうてい 形けい が生い きているか〉である。
原理げんり 語ご には意味いみ の他ほか に〈許ゆる される形かたち の範囲はんい 〉がある。否定ひてい 固定こてい ・慣用かんよう 形けい 固定こてい (物心ものごころ が「つく」、つまびらかに「する」)は辞書じしょ の定義ていぎ 欄らん に書か かれないため、用例ようれい の形かたち ごと貯蔵ちょぞう するしかない。形かたち の固定こてい 度ど は連続的れんぞくてき で、語ご ごとに測はか る。
Q70
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
3-1 ☑161・☑164・☑169・☑183
P4含意がんい / P5視点してん
しおらしい(急きゅう に〜なる)/しかつめらしい/さしでがましい/聞き こえよがし の四よん 語ご は、いずれも〈見み かけと実質じっしつ の二に 重じゅう 構造こうぞう 〉を語ご の中なか に持も つ。各かく 語ご について、何なに と何なに の落差らくさ ・ねじれを見み ているのかを specify し、この構造こうぞう が生う む共通きょうつう の文体ぶんたい 的てき 効果こうか を一ひと つ述の べよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう しおらしい :現代げんだい の主しゅ 用法ようほう は「普段ふだん は言い い返かえ す人ひと がその日ひ はしおらしく黙だま っていた」のような落差らくさ の観察かんさつ 。もともと控ひか えめな人ひと には使つか わず、元もと に戻もど ることを見み 越ご しているからこそ揶揄やゆ が混ま じる。しかつめらしい :真面目まじめ さそのものではなく〈真面目まじめ ぶって見み える こと〉。だから本当ほんとう に厳粛げんしゅく であるべき場ば (葬儀そうぎ )には使つか えない――×例れい の理由りゆう がこれ。さしでがましい :行為こうい の量りょう ではなく〈分ぶん 〉との関係かんけい を測はか る語ご 。同おな じ助言じょげん も、立場たちば が許ゆる せば助言じょげん 、超こ えればさしでがましい。自分じぶん の行為こうい に予防よぼう 的てき に使つか う(「さしでがましいようですが」)のは、ずれを自覚じかく 済ず みだと先さき に示しめ す作法さほう 。聞き こえよがし :直接ちょくせつ 言い えば非難ひなん 、聞き こえなければ独どく り言げん 。そのどちらでもない〈言い わずに聞き かせる〉という計算けいさん されたねじれを一語いちご で名指なざ す。共通きょうつう 効果こうか :四よん 語ご とも表層ひょうそう の記述きじゅつ と同時どうじ に裏側うらがわ (本心ほんしん ・打だ 算さん ・身み の程ほど ・計算けいさん )を読よ んだこと を伝つた える。人物じんぶつ 評ひょう が一語いちご で済す む――小説しょうせつ 語彙ごい の圧縮あっしゅく 力りょく はこの二に 重じゅう 構造こうぞう から来く る。
原理げんり 評ひょう 論語ろんご が概念がいねん の一層いっそう を名な づけるのに対たい し、小説しょうせつ 語ご は〈見み かけ/実質じっしつ 〉の二に 層そう 関係かんけい ごと名な づける。この語ご 群ぐん を持も つことは、人物じんぶつ の裏表うらおもて を description 抜ぬ きで書か ける文体ぶんたい 装置そうち を持も つことに等ひと しい。
Q71
L4 横断おうだん
推敲すいこう
3-1 ☑198・☑187・☑193・☑170
P2類るい 義ぎ / 語ご 域いき
次つぎ の口語こうご 文ぶん を、第だい 3部ぶ の語彙ごい を使つか って小説しょうせつ の地ち の文ぶん として書か き直なお せ(三さん 文ぶん 以内いない )。「彼女かのじょ は書類しょるい をちょっとだけ見み て、変へん な顔かお をした。彼かれ は色々いろいろ 説明せつめい したけど、彼女かのじょ が全然ぜんぜん 納得なっとく してくれないので、すごく困こま って、最後さいご はなんか悲かな しい気持きも ちになった。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう 例れい :「彼女かのじょ は書類しょるい に一いち 瞥べつ をくれると、怪訝けげん な表情ひょうじょう を浮う かべた。彼かれ は言葉ことば を尽つ くしたが、彼女かのじょ はついに得心とくしん しなかった。閉口へいこう した彼かれ の胸むね に残のこ ったのは、やるせなさだけだった。」 置換ちかん の勘所かんどころ :一いち 瞥べつ は〈ちらりと〉に加くわ えて関心かんしん の薄うす さまで運はこ ぶ。怪訝けげん は〈表情ひょうじょう に現あらわ れる〉語ご なので「変へん な顔かお をした」という説明せつめい ごと吸収きゅうしゅう する。やるせないは「悲かな しい+どうにもできない」の二に 成分せいぶん を一語いちご で言い う――口語こうご の「なんか」が担にな っていた言語化げんごか しきれない残余ざんよ を、語ご の含意がんい が正確せいかく に引ひ き受う けている。
原理げんり 推敲すいこう とは同義語どうぎご への置換ちかん ではなく、口語こうご で複数ふくすう 語ご に分散ぶんさん していた情報じょうほう (動作どうさ +態度たいど +心理しんり の残余ざんよ )を、含意がんい の厚あつ い一語いちご に畳たた む圧縮あっしゅく である。畳たた めた分ぶん だけ文ぶん は短みじか く、密度みつど は上あ がる。
Q72
L3 運用うんよう
誤ご 用よう 診断しんだん
3-1 ☑189・☑186・☑203・☑199
P3極きょく 性せい / P4含意がんい (前提ぜんてい )
次つぎ の文ぶん の誤あやま りを三みっ つ指摘してき ・訂正ていせい し、それぞれが〈極きょく 性せい 違反いはん 〉か〈前提ぜんてい 違反いはん 〉かを分類ぶんるい せよ。「この物理ぶつり 現象げんしょう は既存きそん の理論りろん では理不尽りふじん である。予測よそく と観測かんそく が裏うら 腹はら である以上いじょう 、実験室じっけんしつ には新しん 理論りろん 誕生たんじょう の息吹いぶき ならぬ停滞ていたい の空気くうき が満み ちて、教授きょうじゅ の諧かい 謔ぎゃく だけが新しん 入はい りをいたぶって飛と び交こう った。」
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 誤あやま り①:理不尽りふじん は〈筋すじ が通とお らない〉に話はな し手て の憤ふん りが焼や き付つ いた語ご 。物理ぶつり 現象げんしょう は誰だれ も不当ふとう に扱あつか っていないから、「既存きそん 理論りろん では説明せつめい できない」。――感情かんじょう 極きょく 性せい の違反いはん 。判定はんてい ②:裏うら 腹はら は〈対たい になったものの正反対せいはんたい 〉。予測よそく と観測かんそく は対たい を成な すので「予測よそく と裏うら 腹はら の観測かんそく 結果けっか 」は実じつ は成立せいりつ する(「×兄あに は理系りけい で弟おとうと は裏うら 腹はら に文ぶん 系けい 」が誤あやま りなのは兄弟きょうだい の専攻せんこう が対たい 概念がいねん でないから)。誤あやま りとするなら精度せいど の問題もんだい で、「乖離かいり している」がより学術的がくじゅつてき 。――前提ぜんてい (対たい であること)の確認かくにん 問題もんだい 。誤あやま り③:息吹いぶき は〈生い き生い きとした気配けはい ・生命せいめい 力りょく の兆ちょう し〉。停滞ていたい の描写びょうしゃ に使つか えないのは前提ぜんてい 違反いはん 。ここでは皮肉ひにく として「息吹いぶき ならぬ」と否定ひてい に使つか っており、この形かたち なら許容きょよう される――前提ぜんてい 違反いはん は否定ひてい を介かい せば修辞しゅうじ になる。誤あやま り④:諧かい 謔ぎゃく は humour の訳語やくご で上品じょうひん ・知的ちてき という語ご 域いき を持も つ。新しん 入はい りをいたぶる言葉ことば は「嘲弄ちょうろう 」。――極きょく 性せい (品ひん 位い )の違反いはん 。
原理げんり 誤ご 用よう は〈極きょく 性せい 違反いはん 〉(語ご の感情かんじょう ・評価ひょうか の向む きと文脈ぶんみゃく の衝突しょうとつ )と〈前提ぜんてい 違反いはん 〉(語ご が要求ようきゅう する状況じょうきょう 条件じょうけん の欠如けつじょ )に大別たいべつ できる。さらに前提ぜんてい 違反いはん は否定ひてい ・打だ 消け しを介かい すると修辞しゅうじ に転化てんか する――誤ご 用よう の型かた は修辞しゅうじ の型かた と地続じつづ きである。
Q73
L5 メタ
メタ
3-1 Macro × 第だい 1部いちぶ 全体ぜんたい
—
3-1 の冒頭ぼうとう は五十ごじゅう 語ご を「評ひょう 論語ろんご は概念がいねん を、小説しょうせつ 語ご は心こころ の動うご き を名な づける」と対比たいひ し、小説しょうせつ 重要じゅうよう 語ご を〈感情かんじょう 形容詞けいようし ・慣用かんよう 句く ・心情しんじょう 漢語かんご ・副詞ふくし 〉の四よん 層そう に分わ ける。この対比たいひ を、第だい 1部いちぶ で学まな んだ評ひょう 論語ろんご の性質せいしつ (定義ていぎ 可能性かのうせい ・中立ちゅうりつ 性せい ・体系たいけい 性せい )と突つ き合あ わせ、小説しょうせつ 語ご の習得しゅうとく が評ひょう 論語ろんご の習得しゅうとく と方法ほうほう 的てき にどう異い ならざるを得とく ないか を三さん 点てん で論ろん ぜよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 第一だいいち に入口いりぐち の反転はんてん 。評ひょう 論語ろんご は「疎そ 外がい とは〜である」と定義ていぎ から入はい り、運用うんよう へ降お りられる。小説しょうせつ 語ご の「やるせない」を定義ていぎ (思おも いを晴はれ らす方法ほうほう がなく切きり ない)から覚おぼ えても、切きり ない・せつない・侘わび しいとの差さ は定義ていぎ 文ぶん の比較ひかく では取と れない――差さ は用例ようれい の場面ばめん の中なか にしかない。だから第だい 3部ぶ の学習がくしゅう は用例ようれい →境界きょうかい の順じゅん になる。第だい 二に に中立ちゅうりつ 性せい の不在ふざい 。評ひょう 論語ろんご は観察かんさつ 者しゃ の位置いち から独立どくりつ であろうとする(それが概念がいねん の資格しかく である)。小説しょうせつ 語ご は逆ぎゃく で、視点してん (誰だれ が見み て言い えるか)・極きょく 性せい (好意こうい か揶揄やゆ か)・語かた り手て の位置いち が意味いみ の本体ほんたい に食く い込こ む。しおらしいから「見み る側がわ の好意こうい 」を抜ぬ けば、残のこ るのは「控ひか えめ」という別べつ の語ご である。第だい 三さん に体系たいけい の代替物だいたいぶつ 。評ひょう 論語ろんご は対たい 義ぎ (主観しゅかん /客観きゃっかん )・上位じょうい 下位かい (芸術げいじゅつ >美び 術じゅつ )で地図ちず が描えが ける。小説しょうせつ 語ご は情動じょうどう の連続れんぞく 体からだ 上じょう の微び 差さ の集あつ まりで、この地図ちず は〈弁別べんべつ の軸じく 〉(根拠こんきょ の有無うむ ・内外ないがい ・落差らくさ の有無うむ )と〈作さく 例れい の記憶きおく 〉で代用だいよう するしかない。四よん 層そう 分類ぶんるい (形容詞けいようし ・慣用かんよう 句く ・心情しんじょう 漢語かんご ・副詞ふくし )は品詞ひんし による整理せいり であって意味いみ 体系たいけい ではない――ここに整理せいり の限界げんかい そのものが示しめ されている。
原理げんり 語彙ごい 群ぐん ごとに最適さいてき な習得しゅうとく 法ほう は異こと なり、それは語彙ごい の存在論そんざいろん (定義ていぎ の束たば か、場面ばめん に埋う め込こ まれた区別くべつ か)から導出どうしゅつ できる。方法ほうほう を対象たいしょう から導みちび く――この一段いちだん 上じょう の原理げんり こそ、次つぎ の未知みち の語彙ごい 群ぐん (第だい 4部ぶ ・古こ 語ご ・専門語せんもんご )へ持も ち越こ せる資産しさん である。
Q74
L4 横断おうだん
横断おうだん 構造こうぞう
3-1 ☑161(枕草子まくらのそうし ・蕪村ぶそん ・堀辰雄ほりたつお ) × 2-2 身体しんたい 論ろん
P5視点してん
3-1 は「しおらしい」に枕草子まくらのそうし (髪かみ をかき上あ げもせず物もの を見み る童わらべ )・蕪村ぶそん (散さん った牡丹ぼたん の二に 三さん 片へん )・堀辰雄ほりたつお (苔こけ むした石仏いしぼとけ )の三さん 例れい を並なら べ、「この語ご は見み られている側がわ ではなく見み ている側がわ に属ぞく している 」と述の べる。この分析ぶんせき を 2-2 身体しんたい 論ろん の主題しゅだい (身体しんたい =所有しょゆう の媒体ばいたい でありながら自由じゆう にならないもの)と接続せつぞく し、〈しおらしさが本人ほんにん の意志いし で作つく れない〉のはなぜかを論ろん ぜよ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 4 点てん )
解答かいとう 三さん 例れい に共通きょうつう するのは、対象たいしょう の側がわ の無む 意志いし である。童わらべ は髪かみ も直なお さず物もの を見み ているだけ、牡丹ぼたん は散さん っただけ、石仏いしぼとけ はそもそも意志いし を持も たない。しおらしさはこの無防備むぼうび を見み る側がわ が愛あい でる ことで初はじ めて発生はっせい する――語ご が石仏いしぼとけ にまで及およ ぶのは、これが性格せいかく の記述きじゅつ ではなく佇たたず まいの記述きじゅつ だからである。 ゆえに、しおらしさは本人ほんにん が作つく れない。作つく ろうとする意志いし が見み えた瞬間しゅんかん 、それは「しおらしくふるまう 」に変質へんしつ し、見み る側がわ の好意こうい は疑うたが いに変か わる(「しおらしいことを言い う」に皮肉ひにく が混ま じるのと同おな じ機構きこう )。自称じしょう できないのも同根どうこん で、視線しせん を自分じぶん で用意ようい することになるからだ。 2-2 の主題しゅだい ――身体しんたい は所有しょゆう の媒体ばいたい でありながら自由じゆう にならない――はここで反転はんてん して効き く。身体しんたい が完全かんぜん に意い のままになるなら、すべての佇たたず まいは演出えんしゅつ でありえて、しおらしさの根拠こんきょ は消き える。身体しんたい が意志いし から漏も れる部分ぶぶん を持も つからこそ、演出えんしゅつ でない佇たたず まいが存在そんざい でき、それを見み る側がわ の視線しせん がしおらしさとして拾ひろ う 。不ふ 自由じゆう は表現ひょうげん の欠陥けっかん ではなく、この種しゅ の美び の成立せいりつ 条件じょうけん である。
原理げんり 語ご の視点してん 制約せいやく (誰だれ が言い えるか)は、突つ き詰つ めれば〈その性質せいしつ はどこに存在そんざい するか〉という存在論そんざいろん に着地ちゃくち する。見み る側がわ に属ぞく する語ご ――美的びてき 評価ひょうか 語ご の多おお く――は、対象たいしょう の意志いし の不在ふざい を要求ようきゅう する。語ご 法ほう の規則きそく と美学びがく の原理げんり が同おな じ一点いってん で結むす ばれる。
Q75
L5 メタ
メタ
3-1 全体ぜんたい × Q60四よん 層そう
P5視点してん
Q60 では辞書じしょ に見み えない四よん 層そう ――共起きょうき ・格かく ・評価ひょうか 極きょく 性せい ・含意がんい ――を総括そうかつ した。第だい 3部ぶ 五十ごじゅう 語ご を学まな んだいま、小説しょうせつ 語彙ごい において特とく に支配しはい 的てき な第だい 五ご の層そう を自分じぶん の言葉ことば で定式化ていしきか し、名な を与あた えよ。その層そう が四よん 層そう のいずれとも独立どくりつ であることを、本ほん 集しゅう の実例じつれい を一ひと つずつ使つか って示しめ せ。
解答かいとう を開ひら く(採点さいてん 5 点てん )
解答かいとう 第だい 五ご の層そう :視点してん 制約せいやく ――語ご の中なか に焼や き付つ いた〈観察かんさつ 者しゃ の位置いち 〉。誰だれ が、どの高たか さから、誰だれ に向む けてなら発話はつわ できるかという、文ぶん の外側そとがわ (発話はつわ 状況じょうきょう )に課か される条件じょうけん である。四よん 層そう からの独立どくりつ の証明しょうめい :①極きょく 性せい と独立どくりつ ――鷹揚おうよう は肯定こうてい 語ご (極きょく 性せい クリア)でも、下位かい 者しゃ の受う け身み には使つか えない(Q65)。極きょく 性せい が通とお っても視点してん で落お ちる。②含意がんい と独立どくりつ ――健気けなげ の含意がんい 〈弱じゃく 者しゃ の懸命けんめい さ〉は、文ぶん をどう直なお しても、対象たいしょう が創業そうぎょう 社しゃ 長ちょう である限かぎ り救すく えない(Q63)。含意がんい の内容ないよう ではなく話者わしゃ ・対象たいしょう の位置いち 関係かんけい が違反いはん している。③共起きょうき と独立どくりつ ――「私わたし はしおらしくうつむいた」は共起きょうき (うつむく)も完璧かんぺき だが、自称じしょう ゆえに不可ふか (Q63・Q74)。④格かく と独立どくりつ ――格かく 助詞じょし の選択せんたく (〜を憚はばか る/世よ に憚はばか る)が正ただ しくても、視点してん の資格しかく がなければ文ぶん は浮う く。運用うんよう 手続てつづ き:意味いみ ・共起きょうき ・格かく ・極きょく 性せい ・含意がんい を確認かくにん したあと、最後さいご に一問いちもん ――「この語ご を発はっ する資格しかく 上じょう の位置いち に、この文ぶん の話者わしゃ はいるか」 。評ひょう 論語ろんご ではほぼ常つね にYesなのでこの層そう は不可視ふかし だったが、小説しょうせつ 語彙ごい ではここが主戦場しゅせんじょう になる。第だい 1部いちぶ で四よん 層そう 、第だい 3部ぶ で第だい 五ご 層そう ――層そう は語彙ごい 群ぐん を替か えるたびに増ふ えうる、という開ひら かれた構かま えごと持も ち帰かえ ること。
原理げんり 測定そくてい の枠組わくぐ み自体じたい を学習がくしゅう 対象たいしょう にする(四よん 層そう →五ご 層そう への拡張かくちょう を自分じぶん で行おこな う)ことが、この教材きょうざい 群ぐん の最終さいしゅう 目標もくひょう である。次つぎ の語彙ごい 群ぐん でまた新あたら しい層そう が見み つかるはずだ、という予期よき を持も った読よ み手て だけが、辞書じしょ に見み えないものを見み 続つづ けられる。