この章に出てくる用語 11 語 ── 初めての人はまずここを開く
| 中国語 | 読み | 意味 |
|---|
| 生命值shēngmìngzhí | ションミンジー | プレイヤーの体力(血量とも)。100から始まり、対人戦で負けると減る。0で脱落 |
| 商店shāngdiàn | シャンディエン | 画面下に並ぶ5枠のカード売り場。毎回合の頭に中身が入れ替わる |
| 刷新shuāxīn | シュアシン | 2金币を払って商店の5枠を引き直すこと。日本語では「回す」「D(ディー)する」とも |
| 羁绊jībàn | ジーバン | シナジー。同じ系統の駒を規定数そろえると発動するボーナス。3体・5体のような閾値制 |
| 星级xīngjí | シンジー | 駒の星の数。同じ駒3枚で2星、2星3枚(計9枚)で3星。星が上がるほど格段に強い |
| 卡池kǎchí | カーチー | 8人で共有する駒の山札。誰かが買った駒はその分だけ山から減る |
| 回合huíhé | ホイフー | 1ラウンド。準備(约30秒)→自動戦闘の1往復。「3-2」は第3阶段の2回合目 |
| 赌狗dǔgǒu | ドゥーゴウ | 低費用駒の3星に全てを賭ける戦略の俗称(直訳は「賭博狂」)。等级を止めて刷新を繰り返す |
| 九五jiǔwǔ | ジウウー | 早めに等级8〜9へ駆け上がり、4費・5費の大物で勝つ戦略。「速8」「速9」とも |
| 偵察zhēnchá | テイサツ | 他プレイヤーの盤面を見に行く操作。同じ駒を集める競合相手(同行)を見つけるために行う |
| 同行tóngháng | トンハン | 自分と同じ駒・同じ構成を集めている他プレイヤー。卡池を分け合う競合相手 |
01前提 ── 同じ卓に着く、ということ
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図 01FIG-65同卓ライバル構成で消えるもの残るもの生まれるもの
友人と 2 人で组队(パーティ, zǔduì)して標準模式に入ると、同じ 8 人の対局の中で互いに対戦相手として戦うことになります。本章はこの関係を「同卓の友人」と呼びます。麻雀で同じ卓に着くのと同じで、一緒に遊んでいるが、味方ではありません。
対局中の実態は、完全に独立した 8 人の個人戦です。生命值は各自のもの(友人が受けたダメージはあなたに影響しない)、順位も各自のもの(友人が 1 位でもあなたが 8 位ならあなたは 8 位)、そして対局中に渡せるものは何もありません。目的関数は第1章のまま ── 自分の最終順位の期待値の最小化です。
それでもこの構成には、1 人プレイに対して固有の論点が三つ生まれます。確定した競合が 1 人いること(他の 6 人は誰が来るか分からないが、友人だけは最初から分かっている)。互いを知る相手との直接対戦があること。そして同じ対局を 2 つの視点から検証できること。順に見ていきます。
実測で埋める
组队して標準模式に入ったとき、必ず同じ対局になるか(人数やマッチングの都合で分かれないか)は 18.1 版本で未確認です。対局開始直後に 8 人の一覧へ友人がいるかを確認してください。いなければ、その対局は普通の 1 人プレイです。
02友人を潰す価値は、構造的に小さい
まず結論から。友人を倒すことの価値は、他の 6 人を倒すのと同じです。 8 人のうちの 1 人にすぎません。狙い撃ちで脱落させても順位は 1 つしか動かず、そのために資源を割けば残り 6 人に対して弱くなる。一方、次に見る「卡池を分け合う利益」は対局のあいだずっと効き続けます。利害が対立していても、主力を分けることだけは合理的な合意になる ── これが本章の中心命題です。
利得マトリクス ── これは囚人のジレンマではない
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図 02FIG-66主力を分けるかどうかの利得マトリクス
第3章で見たとおり、卡池は 8 人共有で、同じ駒を追う 2 人は共倒れになります。友人は「確実に同卓にいると分かっている同行候補」なので、2 人の選択は 4 通りの結果を作ります。
- 両者が分ける ── どちらも在庫を独占でき、残り 6 人に対して 2 人とも強くなる。唯一の最善
- 自分だけ同じ主力を狙う ── 相手の在庫は削れるが、自分の構成も完成しない。得るものは「友人が 1 人沈む=順位 1 つ」、失うものは「対局中ずっと続く自分の弱さ」。裏切りに利得がない
- 両者が同じ主力を狙う ── 共倒れ。2 人とも 2 星止まりで、残り 6 人の餌になる
通常この種の状況は囚人のジレンマ(裏切ると得だから協調が崩れる)になりますが、ここでは裏切っても損です。だから協調は温情ではなく、単に得だから選ばれる。相手を信用する必要すらありません ── 相手が裏切った場合ですら、自分は分けたほうがましだからです。
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図 03FIG-20カードプールの分割設計
合意は3レベルまであるが、推奨は2まで
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図 04FIG-67合意の3レベルと推奨範囲
対局前の合意は、深くするほど良いわけではありません。
| レベル | 内容 | 判定 |
| 1 主力の駒を分ける | 「僕は○○を主力にする。君は?」の 1 往復 | 必須。共倒れを確実に避け、利益の大半を取れる |
| 2 主軸の羁绊も分ける | 閾値に要る脇役まで奪い合わない | 推奨。実益のある上限 |
| 3 費用帯・運営方針まで分ける | 「2费は君、僕は九五」 | 非推奨。方針は引いた資源が決める(第5章)── 先に縛ると良い引きを捨てることになる |
基準は一行 ── 合意してよいのは「被ると両方が損をするもの」だけ。被っても損しないものまで分けるのは、自由度を捨てているだけです。例外が一つ、赌狗 × 赌狗 だけは避ける価値があります。主力の駒が違っても低費用帯全体への在庫圧が強く、互いの刷新効率が落ちるからです。
合意は破れます。宣言した主力がまったく引けなかった、転換した、友人以外に同行がいた ── いずれもしかたのないことで、方針は引いた資源が決める以上、合意に固執して沈むほうが損失は大きい。破れたことは対局後に共有すれば十分です。対局中に伝える必要はありません ── というより、対局中の戦略情報の共有は、対戦相手に自分の手の内を渡す行為なので、原則として自分の不利になります。会話は雑談の範囲に留めるのが合理的です。
03直接対戦 ── 情報は増えるが、優位は生まれない
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図 05FIG-68通常の相手と同卓の友人の情報量の差
友人と当たる回合では、第6章の偵察 4 項目のうち 2 つ(範囲攻撃・突入の有無と、物理か魔法か)が対局前から分かっています。主力を宣言し合っているからです。偵察に使う時間が半分で済む ── ただし、それだけです。友人も同じ情報を持っています。 情報の優位は発生せず、発生するのは互いに偵察コストが下がるという対称的な効果だけです。
この既知情報を使ってよいのは、その選択が他の 6 人にも有効なときだけ。8 人対局で友人と当たるのはおおよそ 7 回に 1 回で、残り 6 回は別の相手です。友人 1 人のために前列の防御を偏らせれば、6 回の側で弱くなります。
読み合いは1次で止める
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図 06FIG-69読み合いの次数と期待値
「相手が合わせてくると分かっているなら、裏をかくべきでは?」── ここには明確な止めどころがあります。
- 0次 相手を見ない ── 自分の盤面だけ整える。これだけでも十分戦える
- 1次 相手の構成に合わせる ── 見えているものへの対応。利益が最大。ここで止める
- 2次 相手の対応を読んで裏をかく ── 相手の頭の中の推測。当たれば大きいが、外れると 0 次より悪い
- 3次以降 ── 考える時間だけが失われる
1 次が最大である理由は単純で、1 次は実際に見えているものに基づき、2 次以降は検証できない推測に基づくからです。観察に基づく判断は当たり、推測に基づく判断は当たらない ── 第6章の「体感だけで同行を疑わない」と同じ原理です。
いちばん大きなリスクは技術ではなく心理
友人に負けたくないという気持ちは、次の形で順位を下げます。友人と当たる回合に必要以上の資源を注ぐ。友人の強い構成に対抗して同じものを狙う(共倒れの再生産)。友人より先に落ちたくなくて、順位を犠牲にする判断をする。──目的関数は自分の最終順位であって、対友人の勝敗ではありません。「友人には勝ったが 7 位だった」は、定義上の失敗です。
対策は測定の設計です。対友人成績を記録しない。 測るものが行動を決めます ── 対友人勝率を記録すれば、あなたの脳はそれを最適化し始めます。記録してよいのは自分のテーマの達成だけです(第10章)。
042視点レビュー ── この構成の最大の配当
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図 07FIG-702視点レビューの4ステップ
対局中は独立、対局後は協調 ── これが同卓の友人という構成の正しい姿です。そして対局後の協調には、1 人プレイでは原理的に得られない配当があります。あなたと友人は同じ 8 人・同じ卡池・同じ相手群を、2 つの独立した視点から観測しているからです。
対局後の 5 分、4 ステップで回します。
- 各自が独立に 3 行を書く(2 分)── 書き終わるまで絶対に見せ合わない。先に聞くと相手の見方に引きずられ(アンカリング)、独立な 2 観測が 1 観測に縮む
- 突き合わせる(1 分)── 同じ対局を見ていたのに何が違ったかを 1 つだけ
- 卡池の答え合わせ(1 分)── 「あの駒、そっちの商店には出てた?」2 人とも出ていなければ、在庫が薄いことのかなり強い証拠
- 次局の合意を更新する(1 分)── レベル 1 の宣言を決め直す
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図 08FIG-712視点でしか分からない3つのこと
2 視点でしか見えないものが三つあります。卡池の実像(1 人では同行か分散か切り分けにくい場面が、2 人分の観測で精度が上がる)。同じ相手に当たった結果の比較(片方が勝ち片方が負けたなら、その差 ── 配置か、装備か、星级か ── がそのまま「何が効いたか」の答えになる)。そして判断の自然実験(似た手札で片方は升级、片方は刷新を選んだなら、1 局のうちに比較できる。ただし分散が大きいので、同じ比較が 3〜4 回貯まるまで結論は出さない)。
独立性を壊す行為が三つ ── 上手い方が先に教える(2 人の見方が同じになり、観測が 1 人分に戻る。教えるならレビューの後で)。先に結論を言う。記録を 1 人がまとめて書く。──いずれも善意から起きるのが厄介なところです。
05この章の結び
要点
友人は 8 人のうちの 1 人として扱う。合意は「主力を分ける」の 10 秒だけで利益の大半が取れ、それは信頼ではなく利得構造が保証する。読み合いは 1 次で止め、対友人成績は測らない。そして最大の配当は対局中ではなく、対局後の 5 分にある。
その 5 分を含む練習の設計全体を、最終章第10章で組み立てます。